ぐちゃり、君が潰れる音。


足元で何かがぐちゃって潰れる音がした。何だろうこの物体は。僕は何故か血まみれで、あたりも真っ赤で、近くにはナイフが落ちている。僕以外に生物と呼べるようなものはなく、ついさっきまで生きていたであろう者の残骸が、あたりに散らばっていた。一番わかるのは目玉だった。


嗚呼、僕はまたやったのか。


また知らない間に殺した。大好きなみんなを、殺した。さっきまではきっと普通だったのに、今度は何に反応したんだろう、またやってしまった。


僕は僕がとてもいやだ。殺したあとに正気に戻ったときの、この、とてつもなくやるせないような、苛立たしく悲しい、この感傷がいやだ。もういやだ。いやだいやだいやだいやだいやだ。僕が悪い。みんなをこんな目に遭わせる僕がいけない。こんなことならもういっそ存在を消して、誰か僕を殺して。


足元にあるモノを見て思い出す。これは、ついさっきまで僕のためにケーキを作ってくれていた中性的なあの子だ。その他にも、笑顔が素敵なあの子や、ちょっと頭が悪くていつも何かしらやらかすトラブルメーカーなあの子もいる。

みんな、僕が殺した。いつも、僕が殺す。僕はずるい。我慢が出来ない。僕が何もせずに終わる日々なんてたぶん無いんだ。だから、さっきから祈ってる。早く今日が終わりますように、明日になってくれって、ずっと懺悔しながらも考えているんだ。もう辛い思いはしたくないから、早く明日になれって。僕は卑怯だ。

でも。

でも、

でも、

明日になればぜんぶ忘れる。
明日になればみんな戻る。
明日になればまた話せる。
明日になればまた繰り返す。

明日になれば、元通り。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -