昔から殺すことが好きだった。夏になると蝉を殺した。冬は殺せなかったから頭の中で殺した。そんな僕のたった一人の女の子の友達は、勝手に近づいてはその行為に怯え勝手に泣き喚き勝手に何処かに行った。でも次の日になるとまたやってくるから、たぶんバカなんだと思う。

その度に僕は先生に怒られた。五歳の子のすることじゃない、他の子が怯えている、あっちで一緒にブランコしようか、などと言ってきた。先生は幼稚園にしては珍しい、男の先生だった。そいつはたぶん女の子に惚れていて、(なんてロリータコンプレックス)いつもその子の近くにいた。我ながら幼稚園のときからバイオレンスな日々を送っていたんだなと思う。

女の子は何処かに転校した。泣きじゃくってひどい顔だった。先生は本当に悲しそうだった。先生はいつまでも園内に残り、やけ酒をしていた。ブツブツと一人で、あいつのせいだとか、何であんなのが来たんだだとか言っていた。

僕は虫を夜に殺すことに決めて、夜中に幼稚園に向かった。先生は酔いつぶれていた。目が合って、普段ならまたぎゃーぎゃー怒るところなのだろうけれど、今回は何も言わず忌々しそうに僕を見てから、また酒を飲んでいた。


そうして、先生は次の日、何処かに消えました。



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