ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゃ。
真っ白な部屋の真っ白な床が汚れてゆく。ああ汚い。いや綺麗?
僕は白が好きだ。
だから毎朝ちゃんと生クリームみたいにふわふわな歯みがき粉を使う。だけど最近歯が痛くなってきた。親知らずかな。


そんなことを考えつつ体は作業を続ける。
目、耳、頬、頭、口。
目はぐにぐに。グミみたい。
耳はなんだかボソボソした肉みたい。(肉だけど。)
感想を一つずつノートにメモる。
こんな体験は一生無いだろうから、忘れないように。



大好きな君をこんなふうにするなんて正直思わなかった。
こんな性癖があるだなんて思わなかった。
でも苦しまずに死んでいったことは最大の幸福だったと思う。
僕は君が好きだから。


昨日僕の家に君が泊まりに来た。
なんてことない、普通の日常で普通に過ごして普通にバカップルした。
今でも記憶に居る、あのときの君は素晴らしく素敵だった。もう会えないけれど。
悲しいような悲しくないような変な気持ちで解体を進める。バキバキバキ、骨が折れる。華奢な体でも解体するには結構力が必要で、大変だ。初夏だから汗も出る。
君みたいに甘くない。シャワー浴びたい。


何でこんなことになったんだろう
風呂上がりの君を見てなにかが弾けた。食べたくなった。めちゃくちゃに犯したくもなった。
早急にシャワーを済ませ、ベッドで愛し合った。食べたいって言ったらはにかんで頷いてた。
二重の意味とも知らずに。


何で食べたくなったんだろう。


風呂上がりの君に欲情した。
健全な人間として欲情した。
あの甘ったるい匂い、上気した肉体、声、髪、指。
彼女もたぶんその気だったんだと思うけど。
ベビードールなんか着て、頬を染めて、しおらしくなって、可愛い君のハニートラップにまんまとのせられたよ。


まさか食べるとは思わなかったけど。



残りの体は明日調理しよう。
生で食べるのはちょっとキツかった。
デザートには大好きな生クリームと大好きな君の肉体と目玉をトッピングしたパフェを食べよう。
骨は全部綺麗に洗って修復して部屋に飾っておこう。

これでいつまでも覚えていられる
等身大の君と同じ空間に居られるよ。



2011


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