「ただいま」

「ねえ」

「………(沈黙してみる)」

「いい加減目見てよ」


クラスメイトに誘拐された。

ごく普通のやり方で普通に歩いてたらいきなり名前を呼ばれて巧みな言葉に騙されてついていったら、だ。ああ私はバカか。
今は誘拐されて(監禁か?)三日目


「何で見てくれないんだよ」

「何で喋ってくれないんだよ」

「何で逃げないんだよ」


誘拐犯なんかと喋る被害者なんて居るか。まあ一応クラスメイトだけどさ。目だって見たくないわ
疑問はいっぱいあるけど、関わりたくないよ。


「何で連れ去ったか教えてあげようか」

反応はしないけど心は期待。
暑いから炭酸水くれよ。


「僕ねぇ、君が好きなんだ」

世の日本男子は好きな女の子を誘拐監禁するらしいです。
お目覚めTVのアナウンサーもびっくりだあ。

「だから僕ん家に連れて来たんだけど、君が居ない学校はとてつもなく退屈だよ」

……ああ…そう……………

「でも、君はいつでも此処から逃げられるんだよね。なのに何で逃げないの?」

………(考え中ぎゅるぎゅる)


「手錠だってしてる訳じゃないし、いつもの君なら僕を殴って警察行くとか容易いことだろ?何で逃げない?まあ僕としては嬉しいがね」

別に此処が嫌な訳じゃない。
………
……
…ん?…あるぇー…?
嫌じゃないって、可笑しいだろ
普通はこんなとこさっさと逃げるはずじゃん。何で、逃げない?


「拐っといて言うのもなんだけどさ、お人形みたいな君には興味わかないんだよね。いつもみたいに戻ってよ」


……無理だ。
わたし、思い出したもん。


「こんなに愛してるのに、ね」


もう眠いから寝ようだなんて言ってるクラスメイトはもう視界に入らない。目が言うことを聞かない。目が渇く。どこに行ったの、いつも傍で眠ってるけどもう感触が伝わって来ないよ 私が此処から逃げれない理由もわかったよ


「おやすみ」

還れなくなるくらい、好きだったんだ


2011


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -