そろそろ気づいて(ナツルーwebアンソロ第一回提出作品)
--------------------------------------------------------------------------------
※銀雅様主催…ナツルーアンソロの作品を修正・加筆したものです。


☆★☆★☆


――ナツの傍にいると心から、笑えるよ。

自分らしくいられるから、ナツを想う自分自身も好きになれる。
ナツを見つめる瞳は特別なんだよ。

冗談を言って、強気な姿を見せていることや素直になれない自分も悪い。

でも、ね。

――少なくとも、あたしは女の子だよ。



ナツの目には仲間として映っているのかもしれないけれど、

あたしは、いつでもあんただけを見ているんだから。







☆★☆★☆


妖精の尻尾へ依頼された仕事を無事に終えてから、そのまま買い物へと足を向けた。
つい遅くなってしまったが、重い荷物を抱え、自分の部屋へと早足で向かっていくルーシィ。
玄関の前で足を止め、深呼吸。

「…ただいまー」


(……………)


聞こえてくるはずはないが、馴染みのある一人と一匹の返事を期待してしまう。

ふと、目線の先にあるものが目に留まった。

(あれ?…桜色の髪、ナツ?)

ベッドが置いてある方へ近寄ると、そこには紛れもないあの人物…いや、不法侵入者が自分の家であるかのように眠っている。

侵入したのは良いものの、部屋の主の帰りが遅い為、待ちくたびれて寝てしまった模様。
驚かそうとベッドへ忍び込んだに違いない。
その光景に呆れて何も言えないが、
不思議と、頬が緩んでしまう。

そんな様子を見せるルーシィの想いに対して、目の前で気持ち良さそうに眠っている鈍感な彼は、全く気づいていないだろう。


鈍感なだけならまだ許せる。
それに加えて天然、無自覚、無意識の三拍子がきれいに揃っているのだ。

相当、手強い火竜である。

ナツのことを考えながら溜め息を吐き、先程買ってきた荷物を片付けに身を動かした。

再び桜色の髪が揺れているベッドの側に寄り、上から覗いてみる。
可愛らしいナツの寝顔をしばらく眺めていると、
段々、頬が赤くなってきているのがわかる程に熱くなった。
冷たい両手を頬に当てて、少しでも落ち着かそうと行動に移すが、一向に引かない。

熱を持ち、赤い顔をしながらナツを見続けるルーシィ。

(…良く寝てる、ナツだし、…気づかないわよね?)

自分に都合良く解釈して、誰もいない部屋を意味もなくキョロキョロと見渡してからその場に腰を下ろした。
ベッドの端に両手を掛け、桜色の髪へとゆっくり、顔を近付けていく。

ナツがいつもルーシィに近づくようなやり方。
至近距離まできた時、不意に脳裏へと焼き付いているあの言葉を思い出してしまった。


(「ちっ、…近いわよ!」)


ギュッと強く目を瞑り、ゆっくりと開ける。

もしかしたら、起きるかもしれない、と鼓動が激しくなる。
だが今のルーシィを止めることは彼以外できないだろうと思ってしまう程、真剣な眼差しで見つめていた。

普段あまり意識して見ない、ナツの唇へ届くようにと両腕に力を込めて、そのまま静かに目を閉じ、そっと触れる。

(…好き、ナツに伝われ)

触れた唇を離しながら、目を開けると、
変わらずに、スースーっと寝息を立てていた。

一瞬、ムニャムニャと口を動かしたことにドキリと心臓が跳ねたが、起きる様子はない。
緊張の糸が切れたかのようにホッとして、ナツを見ながらルーシィも、そのまま自分の腕を枕にして眠ってしまった。



ルーシィが目を閉じたと同時に、まだ眠っていると思っていたナツの頬が緩んだかと思うと、突然吊り目が開かれた。


――ナツは、起きていたのだろうか?


首をルーシィの方へと傾けて、手を伸ばし金色をした彼女の髪に、指を絡ませ撫でている。

「…ルーシィ?」

幸せそうに微笑んで眠っているルーシィの顔を見て、ニヤッと笑い、小声で呟く。


「目ぇ覚めたら、今度はオレからするからな…」



既に夢の中であろうルーシィには勿論、ナツの言葉は知る由もない。



☆★☆★☆

豪華な参加者様でしたので、ものすごく緊張して書いていたのを覚えております。
まだ、創作を始めて間もない頃でしたのでかなり修正しました…汗。
でも、内容は変わっていません。
お恥ずかしい文章ですが、銀雅様…ありがとうございました。
良い経験になりましたよ^^



戻る


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -