★君に触れるだけで
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「えっ、ちょっとナツ、右腕見て!…血、出てる。怪我してるじゃない」
「おっ!?…マジか」
自分の右腕を上げて、どこだ?と探しているナツ。
「…なんだ、大したことねえけど…んじゃ、手当てしてくれよ、ルーシィ」
傷口をルーシィに向けて、近づいて行く。
「自分で、できないの?…全く、しょうがないわね」
はぁ〜と息を吐きながら、救急箱を取りに立ち上がった。
ナツの右隣に座り、傷口を見る為にたくましいその腕に触れる。
んっ?
何だろ、緊張するわね。
ナツの腕に触れただけ、なのに…どうして?
あたし、おかしいのかも。
手当てをしながら考えるが、なかなかその答えにたどり着かないでいた。
「よし、できた!!」
ポンッと包帯を巻いた腕に軽く触れる。
「おぉ!ありがとな、ルーシィ」
嬉しそうに、怪我をしていた腕とルーシィを交互に見ながら、歯を見せて笑っているナツの姿に思わず見惚れ、頬が赤らんでしまった。
そのまま見上げているとナツの手が動き、ルーシィの金髪にそっと、触れてきた。
ハッピーを撫でるように優しく、頭を撫でてくる。
(…うわぁ〜)
一瞬、目を閉じ、ゆっくりと片目を開いてナツの様子を窺う。
胸が高鳴る…変よ、なんで…こんなこと、いつものことじゃない。
どうして顔が熱くなるわけ?
あたしからナツに触れるだけで――
温かい大きな手で触れられるだけで――
頬だけじゃなく身体全体が火照る理由は、何?
もしかして…あたし、…ナツを、意識しているってこと?
ルーシィは自分の心の変化に戸惑っているが、そんなことにはお構いなしに、頭を撫で続けている目の前の彼は全く気づかず、
いつもと変わらない笑顔をルーシィへと向けていた。
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