★初めての…。(かけがえのない存在続編)
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(…オレん家、来れば良いんじゃねえの?)



ナツの突然の言葉に流されて、今あたしはナツの家に来ている。
慌しく準備をした為、大した物は持って来れなかったが、一応無事に?食事とお風呂も済ませたところでとりあえずは一安心だ。

ハッピーと言えばこれがナツとは違い、空気を読んでいるというのか――


『オイラはシャルルの所に居るから安心して(ハート)』


と、いつの間にか置き手紙が残されて居なくなっていた。

「全く気を遣いすぎなのよ、ハッピーは…」

小さく呟いたつもりだったが、耳の良い彼には関係ない。

「ハッピーが気を遣ってるって?…べつにシャルルに会いたいだけだろ?」

こんな発言をしているのだからハッピーの言う通り、…安心はできるだろう。
でも何故か期待している自分がいるような、いないような――。
顔が赤かった所為か、珍しくナツもルーシィの様子に気がついた。

「…ん?風邪でも引いたか?」

こっちへ近づいてくる。
ますます意識してしまうではないかと思わず目を瞑ってしまうが、“コツン”と額が当たった。

「ん〜?…熱はねえし大丈夫だろ。…なんか飲むか?」

ゆっくりと目を開けると、いつもの笑顔が目に映る。

「…ううん、大丈夫」

ルーシィの返事にそっか、と言って…少し離れた。


――あれ?


違和感を感じ「どうして離れるの…」とでも言いたそうな顔付きで、ナツに視線を向ける。
ナツの頬が赤い。目が合うと炎が出そうなくらい真っ赤な顔のナツを見て、可笑しくてつい笑ってしまった。

「…なんだよ!笑うなよな」

今まで無自覚・無意識なナツしか見ていなかったこともあり、初めて見る姿に楽しくて嬉しくて自然な笑顔が戻ってくる。

「…ナツ、かわいい」
「うっせえ!…かわいー言うな」

アハハとナツに向けて笑い転げるルーシィ。

「だって、可愛いんだもん!…無理」

涙目になり、笑いながらお腹に当てていた両手を勢いよくナツに掴まれて、身体が動いた瞬間――




「んっ……?」


唇が温かい。
驚きのあまり固まってしまったが、ナツの温もりが伝わってくるようで――心地よい。
そのまま目を閉じた。




「「ぷはぁ!」」

息継ぎの仕方がわからない二人。お互い肩で息をしていた。

「…かわいいー言ったら、こうするからな!」

照れながら言葉にする彼を見ると、また出かかる。

「だからそれがかわい…!?……あぁ〜待って待って!!」

顔の前で手を覆い、ガードする。

「…ちぇっ、いいじゃんもっかいくらい」

怒っているのではないのか、残念がっているナツを見て頬が緩んでしまう。
ナツと良いムードになるにはまだまだ先の話だろうと、小さく溜め息をつくルーシィだったが、アンタとあたしだからなぁ…と心の中で呟く。


そして、そぉっとナツの腕に顔を寄せた。





☆★☆★☆


翌朝。


「…ん?…うまそうな匂い」

クンクンと眠りの中、匂いの元を探る。

隣には、誰もいない。

あれ、ルーシィは?

…夢、だっけか?

――と眠い目を擦りながら上体を起こした。


頭はボサボサで、元気良く逆立っている前髪は、寝起きでは下がっている状態である。
ナツではないみたいで、それもまた可愛い。

ぼぉ〜っとしていると、台所から何か聞こえてきたような。
聴覚を集中させる。

「朝よ、ナツ!…もう起きて、ご飯出来たから」

ルーシィの声で、ようやく目が覚めた。

「おぉ!…そっか、ルーシィオレん家に泊まったんだよな、夢だと思ったぞ」

嬉しそうに歯を見せて、笑うナツ。
ルーシィがいると、朝が苦手なナツも早起きが出来そうだ。



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