★かけがえのない存在(ナツの気持ち続編)
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(好き…ナツが、大好き)


ルーシィの“好き”がやっとわかった。
今まで近くに居過ぎて全く気づかなかった。

自分にとって“相棒のハッピー”イグニールからもらった“マフラー”…それから“妖精の尻尾の仲間”が大切だ!

けれど、一番大切で、何があっても離したくない存在(ひと)がオレには出来たんだ。
好きな“人”が出来ると、こんな気持ちになるんだな。
初めて知った気持ち。

アイツがいるだけで、…笑いかけてくれるだけで、こんなにも元気(パワー)をもらえる。




「…すきだ。ルーシィが…だいすきだ」



やっと気づいた。
しかし、肝心のルーシィは今どこにいるのだろうか?






☆★☆★☆★☆★


鱗模様のマフラーを靡かせて、金髪の嗅ぎ慣れた匂いを探りながら走り回る姿が目に映る。

「…あれ?ナツどこ行くの?」

突然名前を呼ばれて振り向くが、今彼が求めている声ではない。

「そういえば、さっきルーちゃんを見掛けてね。ナツを探してたよ!」

ギルドでルーシィとよく本の話題で盛り上がっているレビィだった。
本屋へ寄った帰りだろうか、分厚い本を何冊も抱えてこちらへ歩いてくる。

「オレもあいつ、探してんだけどよ…」
「そっか!それじゃ早く見つけてあげてね〜…ルーちゃん、ナツに会いたがってたから!」


(えへへ、…本当は違うけど、そう言った方が盛り上がるよね!)


レビィの言葉を聞いて嬉しそうに笑い、任せろと手を振って駆けて行った。

そんなナツを見ながらレビィも笑顔になるが、二人を羨ましく感じていたのであった。

「…よし、私も頑張ろう!」

そう呟いて――。






☆★☆★☆★☆


「ハァ…ハァ、…ルーシィ。…見つけたぞ」

ナツの声に反応したルーシィは振り返り、満面の笑顔――ではなく、何故だか困っている様子で勢いよく右腕にしがみついてきた。

「…ナツぅ、今月分の家賃がぁ………仕事、行こうよ」



――あれ?予想外の台詞に肩を落とす。

右腕に感じる柔らかさと温もりに、珍しく顔を赤らめるナツの姿を受けて、

「えっ?…ナツ、顔赤いよ?」

珍しいものを見るかのような驚きを見せる。ルーシィの顔を見られず目を逸らす。
そんな彼を目にして、意識してしまったのかルーシィがパッと腕を離した。
自由になったその腕でナツは彼女の肩を掴み、引き寄せる。

「わわっ…ど、どうしたのナツ!?」

突然の彼の行動に驚き、目を丸くして見上げた。
いつも以上の至近距離で目が合った瞬間――





“チュッ”





額に口付け。


ボワァっと真っ赤な顔のルーシィを見ながら満足そうな笑顔で、ほのかに頬を染めた。

「…やっと捕まえたぞ、ルーシィ。…大好きだ」

ギュッと力強く抱きしめる。




数分経ったであろうか、良い雰囲気な二人の姿が目に留まる。
ルーシィはナツの胸の中で、スリスリして気持ち良さそうにしていた。

しかし、そんな雰囲気を壊すのも相変わらず――

「…おっ、そうだ!家賃が払えねえなら、オレん家に来れば良いんじゃねえの?」

さらっと爆弾発言。

「…な、何言ってるのよー!」

何故か怒り方に迫力がないように感じられた。

「良いじゃん!オレはイグニールに教えてもらえなかったことをたくさん知ることが出来た。…あの時おまえに会わなかったら、今のオレはいねえし、…ルーシィが好きだからその“好き”を大事にしてえ」

聞き間違いではないかと思ってしまうような台詞。治まっていた心臓がまた激しく鳴りだす。

「…ねぇ、ナツ…それって?」

緊張な面持ちで目の前の彼を見つめる。

「ん?じゃ、とりあえず一回泊まりに来るか?」
「…へ!?…何で、そういう展開かしら!?」

緊張した自分が馬鹿みたいだと、大きな溜め息を吐いていることにも気にせずに言葉を続けた。

「決定な!そんじゃ帰るぞ。…後で迎えに行くから準備して待ってろよ」

(勝手に)決まれば話は早い。
ナツらしいと、笑うルーシィ。

「…んっ!でも、ちょっと待って!…良く考えたら心の準備がぁ……って、何言ってるの、あたしぃ!?」

ナツの嬉しそうな笑顔が眩しい。
優しく触れてくれる大きな手を握り返し、まぁ良いかと慌てて走り出した。





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