★ナツの気持ち(勇気を出して続編)
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ルーシィに「好き」と言われた。

ルーシィの好きな“人”は――、




“オレ”だったんだな。


…ん?

でもすきって、なんだっけ?

大事なこと、だろうけどよくわかんねえよ。

教えてくれよ、ルーシィ。






告白を受けて悩み中のナツ。

『悩み事なんてねえよ』と言っていたのはつい先日のお話。
いつでも自分の近くで笑ってくれる彼女のことで初めて悩む、ことを知ったようだ。


「ああー!!考えても、埒が明かねえ!…出掛けるか」

ふと横を見ると相棒は夢の中。
丸くなって気持ち良さそうな寝顔を見せている。起こさないようにそ〜っと部屋を出て行った。

「おっ、雨降りそうだな…」

あいにく空は雨模様。
暫く歩きながらルーシィの、あの言葉を思い出す。


(…ルーシィはオレのことが好き。んじゃオレは?)


心の中で、自分に問い掛けても応えは返ってこない。

「くそっ、あーわかんねえ!!……おっ?」

やっと気づいた。
いつの間にか雨が降っていたのだった。
全く気づかず歩き続けていたことに驚いたが、それよりも遠くから微かに聞こえてきた“声”に敏感に反応していた自分自身を不思議に感じていた。
声の主がいた方へ向かおうと体が勝手に動き、そしてその先で見たものは――。



「悪ぃなルーシィ、…助かるぜ」
「良いのよ。だって風邪引いちゃうじゃない」

グレイとルーシィが二人で笑い合いながら話している姿が目に入った。
傘は一つ、可愛いピンクのチェック柄。
勿論グレイが傘を持ち、隣にいるその人が濡れないように傾けて――。

“相合い傘”という良くあるパターン。

ナツには“相合い傘”というものを知らない。
しかし、今の彼にとっては目を逸らしたくなるような光景であった。

「おいっ!」
「…え!?ナツ?」

突然の呼び声に振り返ったルーシィは、思わぬ人が目の前にいたことに驚いたが頬を染めて笑顔で見つめてくる。


(…なんだよ、なんでルーシィの笑った顔を見ると‥‥‥‥‥)


あの時マフラーを掴まれて俯いている彼女を見て、本当は触れたかったことを思い出していた。


(なんで、だ…?)


そんな二人の様子を見ていたグレイは、

「俺はお邪魔か?…ナツさんよぉ」

ククッと笑い、ありがとなとルーシィに傘を渡して駆け出していく。

「ちょっ…グレイ!?」

頬だけではなく顔全体が赤く染まっている。ルーシィは恥ずかしいのかナツを見れなかった為、グレイが走って行った方向へと目を向けていた。
そんな彼女を目にして、嫌な気分になりながらもその感情に対して気にも留めず、ルーシィへ突然言い放つ。

「…好きってなんだよ?教えろよ、ルーシィ!」
「へっ!?…教えろって、」

ルーシィの眉間に皺が寄った途端、どこから出したのかいきなり顔に何かが飛んできた。

「…いっ、痛ぇな!なにすんだよ!ルーシィ」

ナツの顔は痛々しい跡がくっきりと残っている。右手には、厚い本が見えた。

「…うっさい!!それでも見て、勉強しなさい!」

ルーシィは怒ってその場から離れ、走って行ってしまった。

「なんだよ、これ?…ん、じしょ(辞書)?」

果たしてナツにわかるのであろうか。



雨でビショビショになりながらも、パラパラと捲ってみる。

「す……おぉー、色々書いてあるぞ!これで調べろってことか…ルーシィの奴。す……き、…はあ!?いくつもあるじゃねえか、どれだかわかんねえ」

いきなり手から炎が、おっと危ない危ない。危なく燃やしてしまうところだった。
いつの間にか雨も止み、自分の炎で身体を乾かしながらもう一度考えてみる事にした。



(…さっきグレイと一緒にいるあいつを見るのがいやだった。…けど、グレイは仲間だよな。…ルーシィも…仲間、だよな…)


「ルーシィはオレが好き。オレもルーシィが好き…なのか?」

わかんねえと、頭をガシガシと掻く。

「ちぇ、気分悪ぃ…。こんな時はアイツの顔を見ると楽になるのにな…」

何気なく自分の口から出てきた言葉に耳を疑った。

「…ん!?…そうか、アイツを必要としてるのはオレだ!一緒にいてえのは、笑った顔が一番だと思うのは――、すき、だから?」


(大事なことだと感じたのはルーシィの大切さ…、アイツを想う気持ちが大事だからか?)


まだ“好きなんだ”とはっきり自覚しているように見えないが、少しずつナツの心に変化が起きている様子が窺える。

「…ルーシィに会いてえ!」

呟くと同時に走り出した。

今、自分が感じた想いをルーシィに伝えたい。
それが“好き”とは違う答えであっても、“オレの気持ち”をルーシィに――。




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