||| 追記

「俺はクロロ=ルシルフル、お前は×××。お前は俺たち幻影旅団の一員で、そこのシャルナークの双子の妹だ。――――・・・・・・本当に何も覚えていないのか?」


 拝啓、記憶を失う前の私へ。

 お前自殺志願者か何か?



「一度で〜、いいから〜、ゆれて神田川ぁ〜・・・・・・うむ、あの2人でデュエットな上キャラソンだと思うとくっそシュール」

 包帯ぐるぐる巻きの状態で、きな臭い雰囲気が漂う病院のベッドで目覚めたのが5年も前のこと。同じくらいの重傷を負った黒髪の男が、しかし顔色一つ変えずに隣のベッドに腰掛けつつ口にした言葉にびびり倒したことは、未だ鮮やかな記憶として残っている。何でも、旅団に敵対したそれは強力な念能力者に私がやられてしまい、その後到着したクロロが辛くも相手に勝利したのだそうだ。このチートをボコボコにする強者が相手とか納得の敗北だわ。私なんか一捻りですわ。

「・・・・・・しっかしなー、どっからどこまでが本当なんだかなー」

 ろくな身元情報もないとはいえ、少なくとも今生の私は×××なんていう名前ではなかったような気がするのだが。容姿は今もお一人様キャッツなかすがちゃんのままだし、てっきり名前も前世と同じかと思っていたのに。×××も可愛らしい名前ではあるが、どっちかと言わなくても男性名じゃないのか。
 何故かシャルから渡された瓶底眼鏡の縁を、落ち着かない気持ちでつつつとなぞる。本当は、こんなあからさまに妙なオーラを放っているアイテムを24時間身につけていたくなどない。・・・・・・ないのだが、以前の私の念能力の制約に関わると説明されているため、仕方なくこのダサい眼鏡を麗しのうつくしきつるぎフェイスに乗っけている訳である。瓶底眼鏡を24時間かけるのが制約の念って何?ぶりっこポーズをとらせた相手を眼鏡萌えに変える能力?

 とにかく今の、A級賞金首集団のエントリーナンバー14番とかいう恐ろしい・・・・・・いや気持ち悪い・・・・・・いやいや居心地の良くない状況をなんとか脱したい。態勢を整えたい。あわよくば逃げたい。ということで、当然ながら私は現在記憶の手がかり集めに奔走している。ところが最初はそんな私をにこにこ見守っていた筈のシャルナークが、どういう訳か年月が経つにつれえげつない威力の妨害を入れてくるようになったものだから、近頃は集まる情報も集まらない。そう例えシャルの髪の毛をこっそり拝借して受けた遺伝子検査で見事赤の他人という結果が叩き出されようと、古書店で偶々発見したどっかの民族の本が何故かすらすら読めてしまおうと、頭に血が昇るたびに一瞬両目にオーラが集まるような感覚があろうと私は!!何も!!!気付いてない!!!!!


 鈍感系ヒロインになりたいだけの人生だった。


という感じのスタートダッシュを切るハンタ編とか。かすが主は、自分の出自に関しては薄々察している。ただし単純に旅団を敵に回すのが恐ろしいのと、右も左も分からないまっさらな状態から5年間時間を積み重ねてきた彼らと、家族とはいえ何も思い出せない人々とを比べて情が前者に傾いているせいで××とかそういう発想はない。今のところは。
もしくはパリストン妹設定で、『自分に過保護かつ人としての大事な琴線が十数本ほどブチ切れている家族に辟易する家出っ子』という共通点の元、キルア君辺りとお互いの肩をぽんぽんする間柄になるとか。

Jul 13, 2017 01:19
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