レイ(?):手を繋ごう、か。
「俺は、見たんだ…。」
「何をよ、シン…。」
「あの、レイが…あのレイがだぞ!?すげー可愛い女の子と手を繋いで歩いてたんだよ!!!」
朝一番。シンとルナマリアは隊務室で声をあげて騒いでいだ。
手を繋ごう、か。
レイ・ザ・バレル――
最新鋭戦闘母艦・ミネルバに配属されたシン・アスカ、ルナマリア・ホークと同期である常に冷静沈着で感情を滅多に表に出さない男。
白金色の髪に淡い水色の瞳をした美しい容姿の彼には密かなファンがたくさんいる、との模様。
そんなレイが!あのレイが!…レイに彼女が居たなんて…。
シンは頭を抱えてルナマリアに問いかける。
「お…俺、レイだけには負けるかって…絶対先に、彼女つくるんだって…」
涙すら流しそうな勢いのシンに、ルナマリアは優しく肩に手を置く。
「負けるかって、アンタなに勝手に勝負してんのよ。大体アンタみたいなガサツな男よりレイの方が断然モテるでしょ。でもま、人間性的にはアンタの方が社交性あるもんねー。アンタの口からレイに彼女がいるって聞いた時は、あたし正直信じられなかったけど、」
フォローになってないルナマリアの言葉に落ち込むシンの目の前に、レイがドアを開けて登場した。
「もう出勤してたのか、シン、ルナマリア…。」
いつもと変わらない口調で二人に声をかけるレイ。
「おはよ、レイ。んん??って…その横の子、誰?」
ルナマリアの驚きの声に俯いていたシンが顔を上げる。と、その目の前には…
「あー!レイの彼女ー!」
シンが指さす方向に、びくっと体を揺らす女の子の姿が。
「シン…何を言っているんだ…?」
レイ本人も驚いた顔をしながら、斜め横に控えていた彼女に向き直る。
「紹介する。今日からミネルバの一員になったコハク・サエキだ。俺たちと同じ赤服でMSのパイロットだ。これでも。」
最後に添えられた言葉に、「これでも」であるコハクが初めて口を開く。
「レイ…これでもって何ですか。これでもって…。あ、シン・アスカさんにルナマリア・ホークさんですよね?お話はこのレイから伺ってます。今日から同じ隊員として、ご指導よろしくお願いします。」
にこり、と感情を表に出さないレイとは対照的に、コハクは効果音でも付く勢いで満面の笑顔になる。
「シン、先ほど彼女がどうかと言ってたが…なんのことだ…?」
鋭い瞳でレイはシンに向き直る。
はっと、我に返るシンはレイに問いかける。
「レイ!俺見たんだからな…!えーと、そのサエキ…と一緒に、ってあ?コハクでいい?ああ、うん。わかった。」
横からコハクに口を挟まれ、ごほん、と改めて言い直す。くそ、コハク可愛いじゃねーか!こんな可愛いことレイがなんで…!
シンは変な気持でレイに対抗心を燃やし始める。そんなシンをルナマリアは「所詮、シンもレイも年頃の男だもんね」と上から目線で同情の気持ちを送る。
「っと、俺見たんだからな!レイがコハク…と、その手を繋いでたとこ!!どーゆーことだよ!俺らに紹介する前から二人はそうゆう仲なわけ!?」
ずばっと言い終えたシンは変な高揚感(言ってやったぜ!的な)を押さえながら、レイの反応を待つ。
いつも冷静沈着で弱みを見せないレイのその能面を剥ぎ取るチャンスだ!とシンはレイに対抗心を燃やす。
そんなシンとレイを横目に、先に口を開けたのはコハクの方だった。
「あの…あ、私も名前で呼ばせていただきますね?シン君、ルナマリアさん。レイとは別にそういう関係ではないですよ?」
「いやいや、レイって名前で呼んでる時点で…。」
「私と、レイは従兄妹関係にあたるので。そんなことはないですよ?」
・・・・・・
はうっ、とレイを除く二人が息をのむ音が部屋に響く。
朝一番、レイが引き連れてきた女の子:コハク・サエキを巡る物語が今幕を開ける…
続きます・…!
レイ×ヒロインの予定が…もしかしたら変わるかもです::
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