イザーク:アイスブルーに抱かれて
「う…んっ…」
重たい瞼を開けると、目の前によく知った人物の顔が視界に入る。
軍人であり彼でもあるイザークの鍛えられ引き締まった体が、私を包み込んでいる。
ちょうど彼の胸元に顔を預ける状態で目が覚めたコハクは上目遣いで彼の寝顔を見る。
すうすうと息をしながらいつものあの甘美なほどのアイスブルーの瞳は今は閉じられ、回された腕からは彼の体温が伝わってくる。
「(寝顔、久しぶりにみたなあ…)」
昨日は久々にイザークと夜をゆっくり過ごす時間があり、
いつも通り彼の迎えを自宅で待ち、少し車を走らせ海辺に近いホテルの最上階のラウンジで食事をしてスイートルームに入り、
まあ、彼氏彼女としての行為を行った後、眠りに就いたのであった。
行為をするのは久方振りで。相変わらず軍人の体力は底を見ない、とコハクは重たい自身の腰を感じた。
イザークを起こさないように、シャワーを浴びようと彼の腕を解きベッドから出る。脱ぎ捨てられた服と、足元から滑り落ちていたシーツを体に巻くとイザークの頬に軽くキスをしてコハクはシャワールームへ向かった。
「・…ん、」
コハクがシャワールームへ向かってから数分して今度はイザークが目覚める。途端に、抱きしめていた彼女とその温もりが無いことに気づき、慌てて体を起こす。
「コハク…っ」
昨晩、あんなに抱いた彼女の温もりが無く目覚めたイザークは見る見るうちに不機嫌になる。前にも勝手に起き上がっては一人シャワールームへ向かうコハクを注意した記憶が新しいのに。
休日は出来る限り、コハクの傍にいたいんだ。俺がどんな思いでコハクに告白したのか絶対にわかってない。普通の人間ならさらりと、好きな女には言えるセリフを自分は言えない。
恥ずかしくて、愛してるの言葉すらまともに彼女に伝えられないからこそ、言葉だけで愛を語らず行動でこそ語るべきだと、イザークは考えている。だからこそ、先日やっとの思いで注意を促せたのにまたしてもコハクは一人でシャワーを浴びに行ってしまった。俺は一緒に浴びたいんだ!!!
飛び起き、イザーク自身もコハクの後を追いシャワールームへ向かう、がその瞬間、まさに頭いっぱいに考えていた彼女本人がシャワーを浴びて部屋へと戻ってきた。
「あ、イザーク起きたんだ」
さも、当たり前のようにコハクはイザークを見るなり口を開く。が、その行動がイザークを更なる不機嫌モードへと追い打ちをかける。
シャワーを浴びたばかりの彼女の腕を引き、先ほどまで寝ていたベッドの上へと押し倒す。あまりにも急な出来事でコハクは目を丸くする。
「いっ、いざーく!?」
ばさっと覆いかぶさると石鹸の香りが鼻腔を擽る。
「なにす…」
コハクの口を塞ぎ、強引に舌を侵入させる。空気を求めるコハクが口を薄く開いた瞬間を見逃さずに舌を絡ませると苦しいのか声が漏れる。
「ふ…んっ、イザーク…」
か細い声を出すコハクの全てを奪うかのようにイザークは口内を荒らす。一分一秒、惜しむことなくコハクを堪能したい。
ぎゅう、と閉じられていたコハクの瞳が開くと、やっと解放された口からは銀糸がつう、と繋がる。
「…勝手に起きるなとあれほど言っただろ…」
「う…ごめんなさい…」
「シャワーを浴びたいなら、俺を起こせばいいだろ。」
「だって…イザーク、お風呂場でもするじゃない…」
口を尖らせた彼女の反応が愛しくてイザークは先ほどまでの不機嫌モードを霧散していく。
そしてコハクのまだ濡れている黒髪を指先で掬うと、香りを楽しむかのように鼻先に持っていく。
「前に言っただろ。休日はコハクの傍に少しでも長くいたい。俺から離れるな、と。」
きらりと光るアイスブルーの瞳に魅入られ、コハクはは顎をぐっと引く。
「だっ、だってイザーク、任務明けで疲れて眠ってて…あの、その起こすの勿体ない、と言うか…」
「そんなことは余計な御世話だ。もうするな。俺の心配はいいから、俺に尽くせ。」
「いっ、いつもそうやってイザークがなんでもかんでも主導権、握るじゃない!」
「うるさい、」
そう言うとイザークは再びコハクの口を塞ぐ。嫌がる彼女の細い体を丸め込むように多い、耳元で囁く。
「俺に惚れられた時点で、コハクの自由はないんだよ。」
アイスブルーに抱かれて
イザークちゃんとヒロインに言えるやん!恥ずかしいこと!(笑)
それにしてもイザちゃんの瞳は本当にきれいな色ですよね…。
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