マリーちゃんと日常 | ナノ



寝起きマリーちゃん



すうすうと規則正しい寝息が聞こえる。

同じ時間に眠りについたというのにマリーの方が起きるのが遅い。それはいつものことだけど、私としては寂しい様な嬉しい様な感じ。

隣で眠るマリーは天使そのものだ。普段から白くふわふわとした髪の毛や服装や言動、全てにおいて天使みたいって言われるマリーだけど、眠っている時のマリーは芸術品の人形みたいに綺麗だ。時折揺れる白い髪の毛すら愛おしい。そんなマリーを私は独占できる、朝のこの時間だけはセトさんにだって邪魔させない。


「マリー、」

小さな声で囁きながら、マリーの頬に触れてみる。きめこまやかなマリーの肌の触り心地は、柔軟剤で洗ったタオルよりも気持ちが良い。

あまりの気持ち良さに、思わず頬をふにふにと柔らかさを実感してみる。少し引っ張ってみれば伸びる伸びる。なんなの、マリーちゃんの頬は茹でたてのお餅なの?

毎日同じことをしているのに飽きることがない、マリーは本当に可愛いから。


私はマリーのことが



「――んぅ、ふぁ……名前、?」

『おはようマリー、よく眠れた?』


マリーは小さく首を縦に振って肯定を示した、寝起きのマリーは言葉を発するのが苦手なんだ。これも何度も一緒に眠ってきて知ったこと。きっと情報通のカノさんだって知らないこと。私から教えてあげるつもりはないけどね。

半開きになった目で視線を宙に迷わせるマリー、まだ寝ぼけているみたいだ。


『ねえマリー?』

「んー…、なぁに、名前?」


眠たそうな声で舌足らずになっているマリーに思わず笑みが零れる。

きっとまだ頭の回転すら始まってない、だから今のうちに言うのだ。毎日飽きもせず、マリーへ刷り込みをするかのように。

スワロフスキーのように綺麗な薄ピンク色の瞳を見据えて、白く触り心地の良い頬に手を添えて。


『好きだよ、マリー』






寝子さま、素敵な作品
ありがとうございました!