マリーちゃんと日常 | ナノ



マリーちゃんとのんびり


「ナマエちゃん、お仕事は見つかった?」

『んー…なかなか良いのが無いんだよねぇ』

「そっかぁ」


メカクシ団アジトの、もはや定位置と化したソファの上でナマエは『求人募集!』と記された雑誌を読んでいた。

『お金が無い仕事も無い』と普段から嘆いている彼女を心配し、マリーは二人分のマグカップを運びながら声を掛ける。


『マリーちゃんは、確か内職してるんだよね?私も同じ仕事しようかなぁ』

「え…!…わっ私、ナマエちゃんと同じお仕事が出来たら嬉しいな…!」

『本当!?じゃあじゃあ、今から連絡して…――』


求人先へ連絡をする為に携帯電話を取ったナマエは、そこでハッと気付く。

『誰かと同じ』という事を人は望みがちであり、それは結果的に依存に繋がり、自らと酷似した物でなくては落ち着かなくなってしまうからだ。


「どうしたの?ナマエちゃん」

『ん、うーん……ダメだよね…やっぱり…』


同一の行動から他の道に突き進むことが出来るのであれば話は別だが、そんな自信は無いし、この選択をした時点で進む方向は決まっているようなものだ。

ナマエは頭の中でグルグルと考えるが、どうやっても楽を求めてしまう。


求めてしまうのなら、



『マリーちゃん!!』

「ひぃッ!?…な、なぁにナマエちゃん」


ブツブツ呟いたかと思いきや、突如大声をあげて自分を呼んだナマエに怯えるようにマリーは飛び跳ねた。


『私、私ね!?』

「う、うん…?」


再び驚かされるのではないかと小刻みに震えながら耳を傾ける彼女の肩を掴んで、ナマエは告げる。

瞳を輝かせ、これ以上ない程の笑みを浮かべて。


『マリーちゃんと、のんびりするって決めた!!』

「…そ…そっか……!!
…ん?…んんっ…?」


決断したかのような意気込みを感じたマリーは一度納得しかけたが、振り替えってみれば凄く妙だった。


『まだ若いんだからさ、急いで職場を決める必要とか無いんだよね!
セトみたいにバリバリ働く元気ないし、マリーちゃんと同じ仕事じゃ甘えが出ると思うの!!
お金だってなんとかなっちゃう気がするし!!』

「えっ…あの、ナマエちゃ―――」

『だから、だからね!?』













私は、



私の現在の最善策を



こう決定付けたのだ。









それは、ね?

















マリーちゃんとのんびり


(ナマエさん、仕事は見つかったんすか?)
(……色々と考えた末、仕事を見つけないという答えを見つけたそうだ)
(うわ〜、ヒキニート率が高くなっちゃったね)
(…力になれなかったよぉ…セト、キド、カノ…)

(さあ、今日も元気に、のんびりタイムだーっ!)