セトさんと日常 | ナノ



セトさんからの言葉



セトがバイトを手伝ってほしいと私に言ってきたのが昨日のこと。
セトにはいつもなにかとお世話になっているから、二つ返事でオーケーした。


そして、セトのバイト先に手伝いに来た私は、そのお店の店員さんにとんでもないことを聞いてしまった。


「貴女が、名前ちゃん?」

『あ、はい』


なんで私の名前知ってるんだろう。セトが教えたんだろうか。


「瀬戸くんから、いつも話聞いてるよ」

『え?』


セトは、この人に私のことを話していると言うのか。一体、どんなことを。


『セト…何か言ってましたか…?』

「ん?瀬戸くんが言ってる通りの子だな、と思ったよ」

『?…どういう』

「瀬戸くんね、いつも貴女のこと可愛い可愛いって私に言ってくるのよ」

『……は』


え…、え?この人は今、なんて言ったの?いや、それよりもセトはこの人に何を言ってるの…?


「わ、わー!!ちょっと何言ってるんすか!」


私たちの間に慌てて割り込んできたセトの顔は、真っ赤だった。
セトが言っている可愛いの意味は、セトが可愛がっているはなおにむけて言うそれかと思っていたが、顔を見る限りそれとはまた違う意味ということがわかってしまって。

「名前!今のは聞かなかったことにしてくださいっす!」

「あら?私余計なこと言っちゃったかしら?」

「おもいっきり余計っすよ!!」


店員さんとセトのやり取りをどこか他人事のように見ていたが、この話の中心人物は私だった。私の顔がみるみるうちに熱くなっていくのがわかる。


『あ、う…え』


ああもう、声が出ないよ。どうしてくれるのさ!もう恥ずかしすぎてセトと顔合わせられないよ。


(わ、私帰る!)(え、あ、待って!!)(無理!バカセト!)(なっ…。バカってなんすか!)(バカセト好きだ!!)(!!!)





きりえさま、素敵な作品
ありがとうございました!