∴ キドさんは格好いい →孤児院組と幼馴染設定の女の子 『キド!』 「…何だ名前、朝からうるさいな…」 名前の元気な声がアジトいっぱいに響く。 そして、その名前の元気な声はキドの寝起きの頭も否応なしに響かせた。 その朝から元気な名前を無視することも出来ずに、キドは適当に言葉を交わす。 『キドは格好いいね!』 「はあ?」 キドは、「ついにこいつは頭がおかしくなったのか」と思った。 元々頭が良くない名前のこと。 ばかでもあり、あほでもある名前なら無理もないな、なんて思っていた矢先のこと、その名前がキドにぎゅうっと抱き着いてきた。 「……急にどうしたんだ?」 元気が有り余ってるのが通常運転の彼女。 顔を上げた名前の顔にはにかっという効果音がつきそうな程、笑顔だった。 『キドはねー、勇者なんだよ』 そこから始まったのは、名前のお話。 キドは一番強い勇者さまなの。 そんな勇者キドの倒すべき敵はカノ! カノはね、悪者なんだ。 私を生贄にしようと、誘拐してきたんだよ!カノは酷いよねー そんな私を助けようと、キドがカノを倒しにやってきたんだよ! そして、キドは一瞬でカノを倒したのでした! 『っていう夢を見たんだー』 「………お前はそんなもののために、俺を起こしたのか?」 『うん!だって、』 キドは格好いいっていうことを、すぐに伝えたくて、 「……ふ」 幸せそうに、夢の内容を一生懸命に話す名前に、さっきまで浮かない顔をしていたキドだったが、名前の笑顔に思わずつられて、笑みを零したのだった。 |