キドさんと日常 | ナノ



キドさんじゃなきゃ駄目





「ねえキド、出掛けようか。」

そう言ってキドをアジトから連れ出したのは、つい先ほどの事。
面倒くさそうな顔をする彼女を連れて行き先も決めずに右へ左へ、フラフラ。

「何で俺なんだ、他にもカノやキサラギが居ただろう…。」

そのボヤキを聞こえないフリをして前を歩く。
君じゃないと君が無い事を、まだ君は知らない。

「キド、手…繋ごっか。」

はっ!?と驚く彼女をスルーし、強引に手を繋ぐ。
彼女は嫌がらずに振り払わずに、僕の行動を不思議に思うだけで。

そんな風な彼女に少し期待してしまう僕が居る。
でも、きっと僕のこの気持ちを言っても彼女は困るだけ。

それなら、この気持ちは閉まっておくから、だから、

「皆にアイス、買って帰ろうか。」


―だから、せめて隣に居させて。

こんな気持ちは君以外は持たない。

君じゃなきゃ駄目なんだ。

そんな意味を込めて今日も僕は君の隣で笑う。








ぐるーみーさま、素敵な作品
ありがとうございました!