スケベとむっつり

 クレセントレイクで知り合ったリザイブと言う男は、ルカーンら賢者とは違い、光の戦士である一行をあまり歓迎しているように見えなかった。真面目で無駄を嫌う彼は、取り分け、両極端な性格のジェットとは反りが合わずにいた。
 ルカーンに頼まれて町中を案内しても、ジェットだけはあっちへフラフラ、こっちへフラフラ。女性を見かけると声をかけずにはいられないのか。
 どうにも気に入らない。
「何なんだアイツは!」
 リザイブはキレ気味に、仲間であるスティーブらに文句を言い放つが、
「まあ、あれはなんと言うかの」
「あれがデフォルトっつーか」
「気にしないで下さい」
 然も当然と、軽く返されるばかり。
 これだけで終われば、事態はそこまでだったのだが……。
 リザイブには好意を寄せてくる女性が一人いた。名をミファルドと言う。ジェットはあろう事か、そのミファルドにナンパをしていたのだ。
 リザイブの堪忍袋の緒は切れた。自分の領域を荒らされた気がして我慢ならなかった。
「貴様ぁ! いい加減にしろ!」
「うえっ!」
 二人の間に入り、引き離す。何事かとジェットはびっくりした。
「あ、リザイブ〜」
 当のミファルドはあっけらかんとし、リザイブを見るやいなや、抱き着いてきた。
「公然の前で抱き着くな」
 リザイブに一喝され、追い払われるミファルドは、渋々従う。
「今、お仕事中なんでしょ。じゃあ、リザイブの家で待ってるから」
 と、駆けて行った。
 溜息混じりにミファルドの事を紹介したリザイブに、ジェットが突っ掛かる。
「あんなにアピールされてるくせに、正直アンタの神経疑うぜ。オレだったら、ぜってー放っておかないぞ」
「あれは、勘違いしているだけだ。俺は興味ない」
「は〜、そのくせ付き合ってないんだろ? だったらオレがナンパしようと、別に良いじゃねえか」
「そう言う問題じゃない」
「まさか、その歳で不能とか言うなよ?」
「ほざけ。俺は正常だ」
 ネチネチと言い合う二人に、スティーブは困ったように笑い、イグナシスとハワードもどうしたものかと傍観していた。
 リザイブはこれまでのジェットの行動をこれでもかと非難し出し、心当たりのありまくるジェットは追い込まれる。
「俺はいつでも立場を弁えているし、貴様のように分別つかずに女に手を出して、迷惑をかけたりはしない。その下心に、一体何人の女を泣かせてきたんだ。馬鹿が」
 遂に言い返せなくなったジェットは、真っ白に燃え尽き、立ち直れないと言わんばかりにしょぼくれていた。
 そんな姿を見たハワードは、いくら日頃の行動に辟易していたとは言え、なんだか気の毒になってきた。一応、これでも苦楽を共にしてきた仲間。悪く言われているのはあまり面白くない。スッと、彼を庇うようにリザイブの前に立ちはだかる。
 なんだ? そう言いた気なリザイブに向かって、ハワードは口火を切った。
「……確かにジェットは、どうしようもないスケベだよ。でも、少し言い過ぎじゃないの。あなたはミファルドさんにあんな態度とって、傷付けてるのに。なのに本当は気になって仕方がないから、好意に甘えてキープしてる人に、とやかく言われる筋合いはないよ」
「なっ!」
 思わぬ強敵が現れ、リザイブはたじろぎ、そして、トドメを刺された。
「スケベに謝れよ、むっつりスケベ」
 ハワードの負けん気と言うか気迫に、その場にいた全員が沈黙した。ただ、ジェットだけは、スケベスケベと、フォローになってないと心の中で突っ込んでいた。
 それ以来、リザイブのジェットに対する態度はあまり変わらないものの、心なしか、ハワードに対する口当たりが弱腰になっていた。


……………………
こここ、こんな感じになりましたが、如何でしょうか…?落書きでの感じが出せていれば良いのですが。
まだ親ばか小説でリザイブは登場していないので、どうしようかなと思いつつ(と言うか早く続き書け)、楽しく書けました!
リクエストありがとうございました!

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