「それじゃあ行ってくるわね。お兄ちゃん」
ドラミは綺麗に着飾って家を出た。
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
ドラえもんは手を振って送り出した。
今日ドラミはキッドと遊園地に遊びに行くと言った。それはデートだろうとひやかすと、「違うわよ」と顔を赤くする。
デートじゃなきゃ何だって言うんだ。ドラえもんは苦笑いしていた。
キッチンに行きドラミが作り置きしてくれていたドラヤキを頬張る。あんこが甘すぎず、生地もしっかりしていてドラミの作るドラヤキは大好きだった。
「……あ」
ドラえもんは自分の頬に手を触れた。熱くなった目頭から涙が零れた。
今頃、二人は楽しく過ごしているだろう。そう思うと辛い。意識したのはずっと前から。何でこんな風になってしまったのか、心が痛む。
「キッドの馬鹿……」
どうにもならないと分かっているから、愛しい君を罵倒した。それでも苦しいから、また涙を流す。
「……キッド」
好きだよ。
一度でいいから振り向いて。