ナナイチさんの親ばか(ダッシュさん)を少しばかりお借りしてコラボな文を…。
文で書いたりするのは初めてなので、という言い訳(;´д`)中途半端すみません。



 逃げたし。いないし。
 ハワードはイライラしながら辺りを見回していた。自然と歩調も力み地面を踏む。原因はギルをくすねてとんずらしたジェットだった。
 宿屋で武具を新調しようかとみんなで話し合っていたのだが、ジェットは「めんどくせえからオレの分も適当にやっておいてくれ」と、途中で席を立った。その時には既に遅し。スティーブが財布を確認すると、明らかにギルが減っていた。何に使うか、考えるまでもない。ナンパに決まっている。
 こうして残された三人は血眼レベルでジェットを探しているが、こんな時に限ってなかなか見つからない。いつもなら比較的すぐに捕まるのだが。
 ハワードは溜め息をつきながら、立ち止まった。追って駄目なら引けとでも。待ち構えていれば、案外捕まるかも知れない。それならばと、ハワードはスイーツが評判で女子に人気があるらしいカフェへ立ち寄ってみる。内心そのスイーツがイグナシスの作ったものより美味しいのか興味があった。一歩店内に踏み入ると、客層はやはり見た限り女子ばかりで、自分がいては少し場違いな気がした。
 しかし、そんな中に紛れて見覚えのある顔があった。赤い衣服にウエーブした銀髪がよく映え、お茶を嗜む姿は。
「ダッシュ、さん……?」
 名前を呼べば、こちらに気付いたダッシュは驚きながらもにこやかに返事をした。
「おお、ハワードじゃないか」
 奇遇だなと歓迎してくれた。こんな所で知り合いに会うのも珍しい。
「いつもジェットがお世話になっています」
 迷惑をかけてばかりだろうと頭を下げる。パーティにいる自分達でさえ、今のように迷惑をかけられているので尚更思った。
「いやいや。あっちではみんな好き勝手やってるからな。全然構わねえよ」
 それでもダッシュは気遣った返事をしてくれる。
 挨拶もそこそこに、ハワードは一応訊いてみた。
「あの、そのジェットを見ませんでしたか」
「どうしたんだ?」
「いえ、またどうせナンパかと」
 そう言うと、ダッシュは「だよなぁ」と妙に納得しながら苦笑いする。しかしどうやら知らないらしく、謝られた。ハワードはお礼を言って、また追跡を再開した。

 少ししてハワードの姿が見えなくなってから、ダッシュはお茶を飲み終え、視線を観葉植物へ向けた。
「……だとよ。ジェット」
 すると、死角からジェットが無言のまま現れた。ニヤニヤとダッシュが見れば、冷や汗をかいた顔が。
 ジェットがこの店にいた事を知っていたが、見かけた時は丁度店員の女の子にナンパをしていたので、声をかけずにいた。そしていつの間にか消えていたので、帰ったものとばかり思っていたのである。それが、危機を察知し隠れていただけであった。
「サンキュー。助かったぜ」
 頭を掻きながら、隣に座る。しかし、肝心のナンパは成功していない。気分も萎えてしまっていた。
「教えてもよかったんだがな」
 その方がジェットの為でもあったのだろうが、少し不憫にも思えての事だった。
 ジェットはうんざりといった顔で溜め息をつく。
「勘弁してくれよ。ちょっとくらい息抜きは必要だぜ」
 ならば息抜きのし過ぎだろうなと気づかないのか。ダッシュは皮肉に笑う。無理だろうなと諦めた。
「しかしまあ、いい子じゃないか。あんまり困らせてやるなよ」
 ハワードの事を言えば、不機嫌に顔をしかめた。
「いい子、ねえ……人に魔法ぶっ放してくるような奴が?」
 だからそれは己の日頃の行いが悪いせいだと、突っ込むのも面倒臭い。しかし、自分も人の事はあまり言えない。
「人のふり見て我がふり直せ、ってか」
 ダッシュは席を立った。

151117

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