2013/11/27
シドミン

 トリックオアトリート!
 毎年聞き慣れた言葉を耳にし、パーティーで団欒、微酔い気分で眠りにつく。高揚と隣にはいつもの温もりがある。安堵して夢心地に微睡む。つい肩に触れてみた。
「ん……」
 小さく呻き、もぞもぞと手を退ける。今度は頬に触れた。規則正しい寝息が聞こえ、起きる気配はない。
 菓子も悪戯も、二人でいる為の口実。
 そっと唇をなぞる。柔らかな感触に何度も指を滑らせた。
 何もくれない。何もいらない。ただ、傍にいるだけ。それがこの先もずっと。
 もっと触れていたいが、やがて睡魔に負けた。
「お休み」
 夜が明けたら、変わらない日々が始まる。



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