2011/08/05
失恋(1戦←シ
「ねえ。俺はおまえの何なの?」
戦士は何も言わない。
辛くて、心が張り裂けそうで、それでも期待してしまっている。
散々一緒に戦って、近くにいても通わない。一方的な気持ちをただ押し殺すように恨めしくしていた。
「ただの友達?」
こちらを見ようともしない戦士に苛立ちが募る。
「……すまない。俺は」
「ふざけるな!」
罵倒するように叫んだ声は、涙ぐんでいた。
「気付いてるんだろ。それなのに、しらばっくれて、俺を」
踏みにじった。
もう涙は止まらなかった。
「最低だっ、……ッ」
「どうすれば君から許しを乞えるのか教えて欲しい」
慰めるように言う戦士に堪忍袋の緒が切れた。
「おまえ馬鹿かよ! じゃあ俺の気持ち受け止めろよ! 何で俺じゃ駄目、何だよッ!」
次の瞬間、抱きしめられた。しかし今更遅いと分かっている。怒りが相殺されてしまった。
「何で、何だよぉ……」
「君には、俺よりも相応しい人間がいるだろう。だから」
「誰、だよ……いないよ……そんなの。誰が……」
戦士以外に。
今だけでもいい。現実を忘れてこの温もりが自分のものであると、シーフは静かに瞼を閉じた。