今日はバレンタインです!テンションあがります!

「皆さん!今日はバレンタインと言ってお菓子をあげる日です!ということで私からお菓子の贈り物です!」

お菓子、という単語に最初につられたのは勿論

「むっ!ちょこれぇとではないか!」

甘いの大好き幸村君。最近は洋菓子にも手を伸ばしてます。
特にチョコがお気に入りみたいです。

「………」

そして風魔君も。本人は言わないけども、結構好きみたい。

「食べてもいいよ」
「ならば頂戴する!」
「……」
「Honeyからのpresentを受け取らねぇわけにゃいかねぇな」

いつの間にか私の背後をとっていた政宗さんが、私越しにチョコに手を伸ばす。

「あの、取り辛くないですか?」
「まぁな。じゃぁ青空が食わせてくれよ」

えー…自分が動けばいいだけの話じゃ…。

「テメェが動けコノヤロォ」

ベリッと強制的に政宗さんは離された。あっ、怒ってる。

「テメェ、政宗様に手ェ出してんじゃねぇ」
「今日くらいはよしなよ右目の旦那。菓子食おうぜ?」
「忍の意見に大賛成だな」
「ははっ、まぁなんか今日は祭りみたいだしさ、喧嘩はなしにしようぜ!」

大人の皆さんにはこちらをご用意いたしました。

「これ、お酒入りのチョコレートです」

ボンボンを差し出す。流石にこの世界で二十歳未満にこれは駄目です。

「酒入りのちょこれぇと??…美味しいのか?」
「まぁ、好き好きですね。お兄ちゃんは美味しいって言ってましたけど…」
「アイツが言うのか…ま、食ってやるか」

それぞれボンボンを手にし、顔を見合わせてから口に放り投げた。
そういえば、この中のお酒の度数何度なんだろう。見ないで買っちゃった。
袋は確か…あったあった!

「えっと…40度?」

いまいちよくわからないけど、これって強いのかなぁ?
40度っていうくらいだし…強いのかもしれない。

「あっ、お味はどうですか?」
「「「…」」」
「あ、あのぉ…?」
「好きだぁぁああああ!!」
「ふぇぇえ!!?」

突然叫んだ元親さんが、突然抱きついてきた!
ちょちょ…苦しっ!

「ももっ、もとひかひゃ…!」
「うぁぁあ!好ーきーだー!!」

どど、どうしちゃったの!?

「テメッ、何してんだ!…てか、なんで酔っ払ってんだ?」
「…む!政宗殿!このちょこから酒の匂いがいたす!」

わんこ!ちょ、食べちゃ駄目…!

―パクッ×3―

食べちゃった…!

「…Hahaha!上等だゴラァ!」

政宗様ご乱心!

「やんのかゴラァ!」
「うひゃぁ!?」

元親さんに俵の如く担がれた。

「って、駄目駄目ぇ!今日スカート!」

見える!見えちゃう!

「破廉恥ぃいい!ブフッ…」
「…!!」
「…Ya、この角度から見るHoneyの生足も極上じゃねぇか…」
「んーっ、食べちゃいたい」

なんとおっしゃいましたか佐助さん!?

「女がんなはしたねぇナリしてんじゃねぇ!」

してるんじゃありません!させられてるんです!

「けぇじさぁん!お助けぇぇええ!!」
「んぅ?いやぁやっぱ花がないとねぇ!」

―ヒラッ―

「ほら、花!!」

花=花柄=私の下着

「きゃぁぁあああああ!!」(蹴り上げ)
「がっ…!」
「おーお、顎いったよ」

ししし、信じられない…!酔っ払ってるとはいえ…!

「も、もうお嫁にいけないです…!!」
「安心しろ!テメェは俺がもらってやっからよぉ!」
「Aan!?青空はオレのモンだ!オレの女だ!」
「だぁめ、青空は俺のだからさ」

一瞬、風が巻き起こったかと思うと、今度は佐助さんに抱えられていた。
そして身代わりで私の代わりに、鼻血出して倒れた幸村君が元親さんに抱えられえいた。
それに気付かず喧嘩する2人…なんか可哀想。

「うっ…佐助さん1番お酒臭いですよ!?」
「んー?大丈夫だけどぉ?」

嘘だ!口調といいほっぺの紅さといい絶対酔ってます。

「花柄、俺見ちゃったー」
「っぅ!!」

佐助さんのごつごつした手が私の太腿を上下上下と撫で上げる。

「ひゃぁっ…さ、佐助さん…!」
「すべすべぇ…ねぇ、食べちゃっていい?」

急に低くなった佐助さんの声が、耳元で囁かれる。
不覚にもそれにドキッとしてしまった。

―ガツン―

ごちん!よりも数段鈍い音。それと共に佐助さんが倒れた。
しかし私は倒れません。何故なら…

「猿ぅ…何してんだぁ…!」

今度は小十郎さんに抱えられていますから。反対の手にはフライパン。うん、凶器確定。
とりあえず、小十郎さんに救われたわけでして

「こっ、小十郎さぁん!」
「………」

返事がない…?

「あの、小十郎さん?」

―ドサッ―

「えっ…」

何の前振りもなく、世界が反転した。
テーブルに敷かれた私の上に、覆い被さるような小十郎さん。
ほんのり紅い、頬と耳。そうだった、この人も酔ってたんだ…!

「おい…」

一段と低い声。思わず肩を竦めてしまった。
お酒の匂い漂う口元が、段々近づいてくる。
絶対に逃げられない、獲物を逃さない獣の目。私は獲物?
唇が触れてしまうかどうかの距離だった。

「…すー…」

聞こえてきた寝息。
力ない小十郎さんの体が、私にのしかかる。お、重い…!

「だ、誰か…!」

嗚呼、そうでした。誰も私を助けられる状況ではないのでした。
幸村君と慶次さんと佐助さんは倒れ、風魔君は寝て、政宗さんと元親さんは喧嘩中。
お酒が入り少々壊れ気味の彼等に、私の声が届くはずもなく…。

「…私の馬鹿」

ボソッと吐き捨てた自分への悪口は、私にしか聞こえません。
甘いはずのチョコレートとバレンタイン。
ちょっと間違えただけでこんなになっちゃいます。
チョコ選ぶときは、人生の選択ほどに慎重に選ばないといけません。
ということを、身を挺してわかったのですから。

「…Happy Valentine」





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