きーらーきーらーひーかーるー…。

「おーそーらーのーほーしー…」
「何唱えてんだ?」

念仏扱いしないでください。

「こんなにもお空が晴れて星が見えるので」
「いやぁ、晴れてよかったなぁ!」

上機嫌に慶次さんは笑い、お酒に映るきらきら星をいっきに飲み干した。

「これなら織姫様と彦星様もちゃんと会えますね」

と上空を見上げながら言うと、何人かから小さな笑い声が。

「どうかしましたか?」
「いや、お前らしいと思ってな」

小十郎さんが優しい目で私を見つめながら、手を私の頭の上に置く。
政宗さんや佐助さんも同意だと告げるようにまた笑う。

「あ、もしかして子供っぽいってことですか?!」
「…まぁ、半分はそうだ」

むぅ、いいじゃないですか、信じたって。

「大丈夫だって、俺も信じてるからさ!」
「某も!」
「……」

慶次さんが私の肩に腕を回し、幸村君が何度も頷いてくれ、小太郎君は無言の賛成。

「ありがとうございます。って、私が言うのもなんですけどね」
「いやいや、だってさ、俺等ですらこうやって世界を超えて青空と会えたんだ。神様の力でさ。
 神様だっているんだから、星の恋人がいたっておかしくないって」

星空の下キラキラ輝く慶次さんの笑顔。

「確かに、神がいるんなら星の世界があったっておかしくはねぇよな」

そう言いながら天を仰ぐ元親さんにつられ、私も今一度星を見上げる。
でも、本当にそうだとしたら…。

「年に一度しか会えないなんて、悲しいですね…」
「…まぁな」

同意してくれた元親さんの手が私の手を握る。
それにつられて彼の方に顔をむけると、ぽりぽりと照れくさそうに鼻の頭をかいていた。

「ま、星の川だろうが海だろうが、俺の船でこえて青空に会いに行ってやるがな」
「元親さん…」
「ほぉ、ならオレは、竜となって青空に会いに行く」

突如背後から体ごと引き寄せられ、政宗さんがそう言い終わる頃には私の体は彼の腕の中。
頬にかかる彼の吐息が熱くて、頬がさらに熱を持つ。なんだか胸も熱くて、胸のところを抑えながら丸まった。

「政宗さんっ…」
「な、ならば某は!」

抑える手を幸村君に掴まれた。すると政宗さんを押しのけるように自身の体を前に出し、顔がとても近い。
もう彼の目しか見るところがないような距離。

「某は、どれほど大きく激しい波であろうと、青空の為全力で泳ぎ切ってみせようぞ!」

まっすぐな思い。こんなにも、素直な心。
ああ、私…幸せ、だなぁ。

―ポツリ―

頬に感じる水滴。

「あ、雨…」

空は綺麗に晴れているのに、突然の雨。
私の涙なのか、それとも雨なのかわからず、頬を伝い落ちる。

「そういえば、聞いたことがあるんだけどさ」

慶次さんが小雨降る夜空を見上げる。

「七夕の日に降る雨ってさ、催涙雨って言って、織姫と彦星が流す涙なんだってさ」
「…それなら、今日は嬉し涙ですね」
「…そうだね」

佐助さんが私の頭を自身の胸に導く。よしよしと、頭を撫でてくれている。
ああ、凄く暖かいな…。

「さ、佐助ぇ!破廉恥であるぞ!」
「テメェ、オレの青空を抱きしめてんじゃねぇよ」
「政宗様、貴方様のものでもございませぬ」
「よしよし、可愛いんだからさぁアンタはホント!」


拝啓、織姫様。
貴方は大好きな人に逢えましたか?




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