仕事明けは昼まで寝てもよいというのがマイルール。それはちびっこ達にも容認してもらっている。
現実昨晩仕事が終わったのは午前3時33分。覚えやすい。
そして現在11時11分

「…でも、もう少し…」
「姉ちゃん!おきろー!」
「あさだよ」

布団に入り直そうとする私のその布団を宗兵衛君と源助君が剥ぎ取る。

「うー…昼ごはん、もうちょっと待っててね…」
「その心配はいらないよ。片倉さんと猿飛君がすべてやってくれたからね」

えっ、嘘。もう?
早く早くとひっぱる宗兵衛君に連れられリビングへ入ると、テーブルの上には美味しそうな和食テイストの昼食があった。

「おはよー、よく寝れた?」

作った張本人であろう佐助君がキッチンからお浸しを持ってきた。

「あ、うん…あの、これ全部佐助君と小十郎が作ったの?」
「そ、青空ちゃんは食べるだけ。ほら、座って」
「う、うん、ありがとう」

わらわらとちびっこたちはどこからか現れて私に挨拶をしてから各々座る。そしていただきます。
私は目の前にあった、先ほど佐助君が持ってきたお浸しを食べた。

「わっ、これ美味しい!」
「でっしょー?あ、そっちの煮物は片倉の兄さんのね」
「ん…ちょうといい味付け!美味しいよ小十郎!」
「そうか」

あ、小十郎が照れてる。照れる小十郎可愛い…!

「なぁ姉ちゃん、今日は何すんだ?」
「んー、お仕事は終わったから、今日はみんなと遊べるよ」
「やったぁ!」
「あそぶでござる!」

最近は仕事でみんなと遊んであげられなかったから、弥三郎君と弁丸君は嬉しそうに腕をあげた。
ああ、私はこの可愛らしい笑顔のためなら疲れた体に鞭を打ってでも遊んであげられる…!
けれども、梵天丸君がはしゃぐ二人に、おい、と声をかける。

「コイツ、休ませてやったほうがいいとおもう」
「それは僕もさんせいだね。君はさいきん夜おそくまでしごとしていたから、今日はゆっくりやすむべきだ」
「若、弥三郎、今日は、な?」
「今日…」

弁丸君は、今日、と呟いて弥三郎君とともにハッとした表情を見せて頷いた。
え、今日何かあったっけ?

「でもま、確かに疲れてたから今日は休ませてもらうね。弁丸君、弥三郎君、明日はいっぱい遊ぼうね」
「「うん!」」
「よし!じゃぁ俺達は外で遊んでくるから、姉ちゃんはゆっくりやすんでな!」
「え?みんな行くの?」

私の問いに源助君が首を横に振る。

「いいや、僕と風魔君はここに残るよ」
「安心しろ。小十郎がいる」

そっか、なら安心だわ。

「いってらっしゃい」

今日は天気がいいから彼らに帽子を被せ、小十郎とタオル、それに絆創膏や消毒液などの応急用具に飲み物の入ったバックを手渡す。
予想以上の重さに小十郎は私からそれを受け取ったときに体が傾いたけど、そこは男子。しっかりと持ち直してちびっこ達を連れて行ってしまった。
お留守番組は静かに本を読んだり、静かな空間を作っている。きっと私が休みやすいようにという配慮からだろう。

「じゃぁ、もうちょっと寝るね」
「ああ、おやすみ」

二人の頭を軽く撫でてから再びベッドに潜り込む。
うん、こうやって静かにお昼寝なんて久しぶり。あの子達が来てからはまるで保育園のようにお昼を寝かしつけてたから。
まだ寝たりなかったこともあって、私はすぐに眠ってしまった。



どれくらい眠っていただろう。

「佐助!…か?」
「うん…あっ…めだよ!」
「いいじゃ…ほら…!」

何やらリビングが騒がしい。
時計に目をやると時刻はすでに5時。うわ、明らかに昼夜逆転。小十郎に怒られそう…。
少し急ぎ足で自室の扉へ向かったら。

「青空姉ちゃん!」
「わっ!」

私が扉を開ける前に、向こうから宗兵衛君が扉を開いた。

「ちょうどおきたようだね」
「ぐっどたいみんぐだ」

まず目に飛び込んできたのは、テーブルに並べられた美味しそうなハートの形のハンバーグ。そして食欲をそそる香り。昼ご飯食べて寝ただけなのに、その香りに自然とお腹がすいてくる。
でも、ハンバーグの作り方なんて教えたことないのに…。
そう思ってたときカウンターに目をやると、少し前に彼等のために料理のレパートリーを増やそうと買った料理本がハンバーグのページで開かれていた。

「これ…みんなで作ったの?」
「そうだよ。アンタが寝てる間に」
「それと…」

私の前に差し出されたのは、梵天丸君と宗兵衛君が二人がかりで持つほどの大きな、カーネーションを主とした花束。
その中に添えられている赤いカードには、母の日、と、拙い字でありがとうと書かれている。

「姉ちゃん!せーのっ」
「「「いつもありがとう!」」」

そう、今日は母の日だったんだね。

「みんな…」

膝をついて彼らに目線を合わせる。
きらきらとした笑顔は、どこか少し照れくさそう。花束はとっても綺麗で、今まででもらった何よりも素敵。
クレヨンで書かれた、精いっぱいのありがとう。

「みんな…ありが、とう…!」

嬉しくて抑えきれない涙を流しながら、私はみんなをまとめて、腕をいっぱいに広げて抱きしめた。

「みんな、大好きだよ…!」



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