「全く、この前申したばかりでしょう政宗様!」
「そ、sorry…」
「旦那もいい加減駄目だって言ってるのになんでするのさ!」
「うっ…すまぬ」

奥州主従と真田主従は、どうやら従の方がお強いらしいです。

「「…はぁ〜」」

うわぁ、溜息凄く重いです。

「いつもお疲れ様です。お茶どうぞ」
「ん?ああ、すまねぇな」
「あんがと〜」

脱力している2人。毎日毎日お疲れ様です。
特にこの生活では元親さんが小十郎さんにお説教くらってるのも見るようになったし。
いや、もうどちらかが叱らないといけないようなんで。
でもこれじゃぁ2人がお気の毒すぎるなぁ…。
私に何かできることないかなぁ。流石に思いっきり叱ることはできないけど。

「あの、小十郎さん、佐助さん、私に何かできることはございませんか?」
「えっ、出来る事?」

テーブルに額をつけていた佐助さんがそれはもう疲れた表情で顔を上げた。

「はいっ、お2人がちょっとでも楽になれるのなら私微力ながらお手伝いいたします!」
「いや、そう言われてもさぁ…旦那達が変わんない以外には…」
「俺等も変わんねぇな…」
「「はぁ〜」」

うぐっ…正論です。

「あっ!じゃぁさじゃぁさ」

何か思いついた顔で私を指差した

「俺らを癒すってのはどぉ?」

俺様名案っ。と1人楽しそうに指を鳴らす。それはいいのですが…

「でも、癒すってどうやって…」
「簡単だよ」

すると、目の前から佐助さんが消えた。
そう思った次には

「こうやれば俺様癒されるから」

ふわり、持ち上げられ抱きしめられる。

「あ〜…い〜や〜さ〜れ〜る〜」
「ひゃっ…佐助さっ…!」

喉をまるで懐いた猫のようにごろごろ、いや、ん〜っと鳴らしながら顔を私の胸に埋めた。
って、何してるんですか!?

「柔らかぁい」
「ななっ、なんてことして…!」

っゆ、幸村君呼ぼうかな!?
などと考えていたら、私の体は佐助さんから担がされ後ろに置かれる。

「白昼堂々何してんだ!」

小十郎さんに助けていただいたので幸村君を呼ぶ必要はなくなりました。

「ちょっと右目の旦那ぁ、俺様の青空取らないでよ」
「青空はテメェのじゃねぇだろ」

あぅ…火花散ってませんか?

「あっ、あの、小十郎さんはなにかして欲しいことありますか?」

私は背伸びをして一生懸命存在をアピールする。
この2人、背が高いのでちびな私は目線に入るのが精一杯なのです。

「お前にしてほしいことぉ?…今はコイツに近づくなって事だな」
「え、俺様に?」
「了解です」
「えっ、嘘。まじで?」

はい、マジです。
私は小十郎さんにしがみつく。すると小十郎さんは私の頭を撫でた。
…もしかして私完全に子供扱いですか?というか私が子供っぽい!?

「ううっ、酷いな〜…俺様日頃旦那に背負わされる疲れを癒したいだけなのに…」

めそめそと嘘泣きでいじける。
…なんだか胸がぎゅーっでなるのです。私が悪いことしちゃったみたいな。
でも私からは近づいちゃいけないし…あっ、そうか。

「小十郎さん」
「あ?」

小十郎さんの腕を頑張って持ち上げ、私の肩に置く。
はたから見れば、まるで小十郎さんが私を後ろから抱きしめているように見えなくもないかもしれません。
背中が小十郎さんのお腹とくっつく。

「小十郎さん、離さないでくださいねっ」
「っ…あ、ああ」
「佐助さんっ」

私が名前を呼ぶと、彼はう〜?と唸りながら振り返った。

「おいで…?」

両手を広げる。佐助さんは目を丸くした。
きっと小十郎さんも驚いていることでしょう。
だって私から誘っているんだから。

「小十郎さんは近づくなって言いましたよね?私から近づかなきゃいいんですよね?」
「…ったく、やられたな」
「私は小十郎さんにも佐助さんにも肩の力を抜いて欲しいんです。だから…だ、駄目ですか?」
「そんな目で頼まれたら否定出来ねぇだろ」

私から目を逸らす小十郎さんの顔が仄かに赤い気がした。

「なら…」

―ギュッ―

「俺もこうさせろ」

肩に置かれていた手が私の前で交差し、私を引き寄せた。
なにも言えなくなってしまい、ただ私は頬を染めるだけ。
そんなことを1人でしていると佐助さんが立ち膝になって私の胸にダイブした。
腰から下は、佐助さんに抱きしめられている。

「あ〜…ほんと癒される。ありがとう」

予想していなかったお礼に思わず心臓が跳ね上がる。

「あ、今心臓どきってした」

バレた。

「テメェ、もう少し離れやがれ」

後ろから伸びた腕が、私の胸の間にある佐助さんの顔を外へと押す。

「ヤ・だ・よっ。俺もくっつきたい!」
「だからって胸じゃねぇといけねぇってのはどうかと思うが?」

佐助さんが小十郎さんの手を払い除けた。
手の下から現れた顔は至って真面目な顔で

「いつ俺様が胸じゃないといけないって言ったぁ?俺様は青空ちゃんを抱きしめれればいいんだよ」

そう言い捨てるとまた胸の間に顔を埋めた。
…なんだか、どちらも否定出来なくなっちゃいました。
大きな子供2人に抱きしめられた私は。ばれないよう小さく溜息をついた。

「「今溜息ついただろ」」

やっぱこの2人にはばれますね。





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