35度以上は猛暑。そんな日が続いて早3日。

「あちぃ…」
「あっつー」
「Very hot…」
「うー…あちゅい…」

部屋のどこも暑すぎて、全員がダウンしている状況。
黙っていても汗が出てくるくらい、部屋が蒸し暑い…!

「ぬぬ…こ、これしきの暑さになど負けぬ!!」
「ちょ、旦那黙ってて。余計室温上がる」

熱さには強いほうの幸村君も、さすがにこの暑さはしんどいらしい。

「だぁ!もう我慢できねぇ!」
「あー!俺も!」

元親さんと慶次さんは急にソファから立ち上がり、Tシャツを脱ぎ捨てた!

「わっ!」

逞しい上半身を晒し、扇風機の前を陣取る。
突然のことで驚き、余計に顔が熱くなって、私は彼等に背を向けた。

「テメェ等、青空がいること忘れてんじゃねぇ」
「え?忘れてなんかいないぜ?」
「なお悪ぃだろうが!」
「某も脱ぐぞ!」
「…俺様も脱いじゃおっと」
「しゃぁねぇ」

わわわっ…!み、皆さん脱ぐんですか…!

「いっそのこと、下着だけになんねぇ?」
「trunks onlyか?」
「Stop the trunks only!」
「………」

小太郎君が何故か、脱いだ人たちを見せまいと私の前に立つ。

「ってか小太郎君、汗かいてないね…凄いね」
「……」

熱くないのかな?ぴっちりしたTシャツ着ているのに。

「さてと、俺は畑に水をやりに行ってくる」
「あ、私も行きますよ」

こんなかんかん照りだと、土だって乾くし、お野菜も萎れちゃうものね。

「そうだ!」

突然声をあげた慶次さんが、ビシッと手をあげる。

「野菜に水やるついでに、俺らも水浴びしたい!」
「Nice idea!小十郎、いいだろ?」

パチンと政宗さんが指を鳴らし、小十郎さんに確認。
小十郎さんが拒否できないってわかっててやってますね。

「まぁ、涼む程度ならよいでしょうな」
「決まりぃ!早速行こうぜ!」
「あ、待ってください!せめてシャツを着て行ってください!」

上半身裸でエレベーター降りる人なんて、それこそ捕まっちゃう。

「皆さん!いきますよー!」

私と小十郎さんはホースを手にし、霧状に出るように口のところを軽く押す。

「いつでもきやがれ!」
「come on!」

蛇口を捻ると、勢いよく冷たい水が飛び出す!
出口を上のほうに持っていくと、水は綺麗に光に反射し、彼等にかかる。

「うっひょー!きもちー!」
「心頭冷却すれば火もまた涼し、だな」
「右目の旦那ぁ、こっちも水頂戴ー」

気持ちよさそうに、楽しそうに笑う、水浴びする5人。

「あ、小十郎さんと小太郎君も入ってきます?」
「……(フルフル)」
「馬鹿言え、俺はんなガキじゃ「うぉーたーあたーっく!」
「……」
「げっ、右目の兄さんにあたっちまった」
「テメェ、オレの必殺技を…もっとcontrol定めろよ」
「次は某が!」

幸村君、次、ないと思うよ。
頭から水を滴らせた小十郎さんの前髪が垂れた。

「くくく…心身滅却すりゃぁ火もまた涼し。覚悟しろ…」
「滅却!?」
「それって、死…」

水の出力、最大。ホースの口、勢いが出るように押さえていますよ小十郎さん。
放たれた水は真っ直ぐに慶次さんの眉間へヒット!

「うぎゃぁぁあああ!!目がぁぁああ!目がぁあ!!」
「そ、sorry小十郎!お前に当てるつもりは」
「政宗様、謝ってすむのなら仕置きは必要ございません」
「ちょ、待っ…ぎゃぁあああ!!」

ああ!小十郎さんはとうとう政宗さんにまで!

「か、片倉殿!落ち着かれよ!慶次殿も悪気があってやったわけでは…!」

幸村君が暴走(?)する小十郎さんを止めようと、勇気の一歩を踏み出す!

―グシャ―

ぐしゃ?まるで草花が潰れるような…。

「………!」

幸村君も感づいたのか、目を見開き、汗をブワッとかいて、やばい。という表情で足元を見た。
幸村君の足の下には、小十郎さんが丹精込めて育てていた葱が、無残にも中間あたりから折れてしまっていた。

「旦那、ご愁傷様」

佐助さん含め他、政宗さんや元親さんも合掌していた。
雰囲気で、私も。
ゆらりと、前髪をたらした小十郎さんが幸村君に近づく。

「…テメェは……死刑だ」

がっ、眼光が…!ギラリッて…!

「くらえ!」

素早く武器のホースを幸村君にむける。

「ぬぉ?!」

飛び出してきた水。しかし幸村君も立派な武将。
反射神経は並みの人の数倍いいわけで、さっと華麗に避けて

「ぷにゃぁ?!」

真後ろにいた私に当たって砕ける!

「なっ…!」
「あーあ」
「なんと!?」

全員が驚いて、びしょ濡れの私を固まったまま見る。

「わ、悪ぃ」

正気(?)に戻った小十郎さんが、申し訳なさそうに謝る。

「い、いえ、大丈夫です」
「そうか…!?」
「俺様は大丈夫じゃないと思うけど」

ブロックに腰掛ける佐助さんが、にやりと笑って言った。
それに小十郎さんも、私から視線を逸らす。

「なっ?!」

ふと、私を見た幸村君が顔を真っ赤にする。

「どうしたの?幸村君?」

彼に近づくと、顔が赤いのはさらに濃くなり

「は、破廉ぶふっ」

鼻血を出して卒倒!

「幸村君?!もも、もしかして熱中症に…?!」
「いや、そいつぁ違うぜ」

振り返ると、にやにやと佐助さんと似た笑みを浮かべる元親さんが。

「俺様的にはいい目の保養だけど、そろそろ隠したほうがいいんじゃない?」

人差し指を私の体にむける。
そこに視線を落とすと,白いシャツが濡れたせいでほぼ役割を失っていた。

「っぅ!?」

前を隠すように身を屈ませた。

「わっ、わかっていたなら教えてくださいよ!」
「えーっ、だっていい目の保養になったし」
「もったいねぇじゃねぇか」

何がですか!
と訴えようとしたとき、目の前で風が起こる。

「………」

現れた小太郎君が、私にタオルをかけてくれる。

「あ、ありがとう」

タオルは頭からかぶせられ、目の前が見えない状態。
わしゃわしゃと頭を拭かれる私は、まるで小さい子みたい。

「………」
「お、おーい風魔さーん?その硬そうな棒は何?」

んぅ?何か佐助さんが言っているけど、わしゃわしゃでわからないや。

「な、なんでこっち向けてんだよ」
「(お前ら、青空に辱めを受けさせた。処分する)」
「ちょっ、処分って…嘘だろぉぉおおお!!?」
「ま、待て!投げん…ぐはぁ!」
「こ、小太郎君?今佐助さんと元親さんの悲鳴が聞こえた気が…」
「………」

何も答えない小太郎君がぱっとタオルを取ると
そこには、新たな脱落者が2名横たわっていました。

「あの、これって…」
「気にするな」
「……」

小太郎君は頷きつつ、倒れる5人を綺麗に並べる。

「さて、誰の血から肥料にしてやろうか」
「肥料!?」
「やはりここは、踏みつけた真田から」
「ちょぉぉお!小十郎さん!それはやっちゃいけません!殺人事件!」
「殺人じゃねぇ、殺傷だ」
「それも悪には変わりないですよ!」
「何か仕置きをしねぇと気が治まらねぇ」

で、でも、確かに悪いことをしたのは彼等(幸村君は事故だけど)
水浴びをしたおかげで、涼しくなり少々冴えた頭で考える。

「…あ。小太郎君」

小太郎君に耳打ちをし、あるものを持ってきてもらう。
彼は即戻ってきて、希望通りのものを私に手渡す。

「ふふふ…」

久々に芽生えたいたずら心の赴くままに、私は手を動かした。



「んっ、あれ?俺…」
「っあー…悪い夢見た」
「お、おはよう、ございまっ…ふふっ」
「どうした」
「い、いえ、みなさん、暑い中気絶して、熱くないですか?」
「あちぃに決まってんだろーが」
「なら、か、顔を洗ったほうがいいですよ…つつ、土もついてますから…ぷぷっ」
「…ねぇ、なんか俺らに隠してる?」
「い、いえ!」
「小十郎、何笑ってやがる」
「いえ」
「とにかく、土も結構ついてますし、ごしごし顔を洗ったほうがいいですよ!」
「はーっ、さっぱりした」
「顔がまだ熱いでござる…」
「日に焼けたんだろ。俺も痛ぇ」
「……〜〜っ」
「…何さっきから笑いこらえてんの?」
「小十郎、俺の顔に何かついてるか」
「いえ、何も…」
「じゃ、じゃぁそろそろ部屋に戻りましょうか!ね?」
「…帰ったら鏡見ないと」

予告どおり、帰って鏡を見た彼らは

「「「…なっ、なんじゃこりゃぁぁぁああああ!!!??」」」

自分の日焼けに驚き絶叫、のちにお互いの顔を見て笑ったとか。

「………」
「凄いでしょ?マジックで書いたところは日焼けしないんだよ」




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