雨、雨、雨、物凄い雨。
連日の雨続き。天気予報では、この雨続きは今日で最後でしょう。と言っていた。

「にしても、凄い雨だねぇ」

予報での最終日、それはもう凄い雨量。
ザーザーと、バケツをひっくり返したような雨。
と同時に
ピシャッ!と辺りが一瞬だけ閃光に包まれる!

「!!」

―ドオォォン…―

少し時間がたってから、轟くような音が地面を揺さぶる。

「おっ、政宗か右目の兄さんが落とした雷かぃ?」
「相変わらずcrazyな思考だぜ」
「遠くに落ちたな…おそらくこちらにも落ちてくるぞ」

小十郎さんの目は遠くの空を見つめている。
暗い、厚い雲。
その間から再び、青白い閃光が!

「ひっ…!」

それに驚く暇も無く、大きな音と足から伝わる揺れが襲う。

―ドォォオオオン!―

「うわっ、近くに落ち「きゃぁあああ!!」

慶次さんが何かを言っていたけれども、それよりも雷が…。
耳を塞ぎ、目を塞ぎ、理由はないけれども小さく身を畳む。
地鳴りが収まったころ、私は薄く目を開いた。
周りでは、小さくなっている私を見て、目を丸くしていた。

「あ…こ、これはですね、別に雷が怖いとかそういう訳じゃ…!」

―ドォオンッ―

「ひゃぁぁあ!」
「…怖いんだろ?」

溜息混じりに言われた真実に、私は小さく頷いた。

「雷のどこが怖いのでござるか?」
「えっ、幸村君雷怖くないの!?」
「うむ」
「す、凄いね…!」

私は素で感動していると

「あのさ、ここにいる俺等は全員雷怖くないんだけど」
「え…み、皆さん凄いですね…」

本当に凄い。G退治ができるくらい尊敬します。
思わず感嘆の溜息が出たとき、小十郎さんが私の前にしゃがむ。

「俺らとしては、雷をそこまで怖がるヤツの方が珍しいがな」

ちょっぴり変な女って遠回しに言われているような気がしたけれども、小十郎さんの手は、優しく私の頭を撫でてくれている。
落ち着く、小十郎さんの手…。

―ピカッ!!―

「わっ、また光っ「にゃぁあ!!」
「なっ…!?」

突然光った空!
落ち着いていただけあって、その分跳ね返りは何倍も。
私はビックリして、まるで本物の猫のように小十郎さんに飛びついてしまった。
小十郎さんは尻餅をつくも、私を受け止めた。

「やや、やっぱり怖いです〜!」
「お、おい!青空!」

怖すぎる。本当に怖すぎる!
怖いもの4要素『地震・雷・火事・親父』が痛いくらいわかります。

「なっ!青空!おお、女子が男に自ら抱きつくなど…は、破廉恥であるぞ!!」
(最近幸村の破廉恥基準がわかんねぇや)

勢いでつい小十郎さんに抱きついてしまった私を、幸村君が指摘する。
でもね幸村君、恐ろしいものに遭遇すると、そういう羞恥心とかは一瞬で吹き飛ぶんだよ。それに…
私は、さらにギュッと小十郎さんに寄り添った。

「小十郎さん、落ち着きます…」

私よりも大きな小十郎さんにしがみついていると、なんとなくだけど落ち着く。

「…しょうがねぇな」

小十郎さんの片腕が私を抱き寄せる。
凄く、私のいるスペースが安心できる。

「なんだかんだで、右目の旦那も抱きつかれて嬉しいくせに」
「猿飛、テメェに雷を1つ落としてやろうか?」
「すんませんでした」

よかった、これで安心して、この雷鳴りまくりの状況を乗り越えられる。
そう思っていたのに、この後の慶次さんの一言ですべて崩れた。

「でもさ、政宗や片倉の兄さんって雷属性だから、下手したら2人に向けて雷が落ちてくるんじゃねぇの?」

この時、私の頭の中では

「HELL DRAGON!」
「唸れ!鳴神!」

政宗さんと小十郎さんが、雷属性の技を使っている光景が浮かんだ。
私はそっと小十郎さんから離れ、最も近くにいた小太郎君の背中にしがみつく。
一方では、そんな発言をした慶次さんに政宗さんが怒り顔で迫っています。

「テメェ、何吹き込んでくれてんだ…!」
「え、俺はただ思ったことを言っただけだってー」
「無駄口も大概にしておけよ…!」
「伊達主従、雷纏いながら言っても説得力ないって」

ば、バチバチって…お2人の周りに雷が…!

「青空が怖がってんぜー」
「とにかくお2人さん、ここに雷だけは落とさないでくれよー」
「そうそう!焼く(妬く)のは恋心だけで十分っ、てね!」
「「うまくねぇんだよぉぉぉおおおお!!」」
「ぎゃぁぁあああ!!」

この日1番の雷が、まさかの室内に落ち、約1名の心身を焦しましたとさ。





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