安売りは大家族にとって最高のイベントです。
今日は近所のスーパーで大安売りの日。

「じゃぁ、次はこれを買いに行きましょうか。あっ、佐助さん、幸村君がどっか行っちゃいそうです!」
「はいよ。旦那ぁ、甘味はまだ我慢だぜー」
「ぬぅ…」

真田主従を携えて、スーパーにお買い物に来ました。
今日の晩御飯は何にしようかな〜。

「うーん…幸村君、今晩は何が食べたい?」

そわそわする幸村君に尋ねると、彼はきょとんとした顔の後、笑顔で

「お主の手料理なら、何でも美味いでござるよ!」

って…うー。

「いかがいたした?顔が赤いでござる…はっ、もしや熱が!?」
「ち、違うよ!その、幸村君が…」
「?」
「旦那ったらー、天然だから困っちゃうよねぇ」
「??」

はい…正直、幸村君の天然真っ直ぐ性格が、ずるいです。

「まぁ何でもいい旦那は置いといて、俺様はおでんが食べたいなー」

と言うその手には、糸こんにゃくにちくわぶ、がんもにはんぺんなど、おでんの具一式。

「はい、いいですよ。じゃぁ今夜はおでんで決定ですね!」
「やったーっ。青空ちゃんありがとー」

そしてそのままカゴにIN
そのまま前に進むかと思えば、佐助さんは私の目の前に立ち

―チュッ―

おでこに、キスをした。

「…っ?!な、な、さ、すけ、さ…!」
「動揺しすぎ。いやぁ、俺の食いたいものを作ってくれるお礼」

と、茶目っ気たっぷりに片目を瞑ってみせる。

といいますか、公衆の面前でなんてことを…!

「さっ、佐助ぇ!破廉恥であるぞ!!」

私の心を、幸村君が代弁してくれました。

「旦那、静かにっ」
「むぐっ…って、もとはといえばお主がそのような…額に接吻を…それもこのような公の場で…!」

私以上に、幸村君の顔が真っ赤だ…。

「いいじゃんかぁ。えっと…らぶらぶ新婚さん?みたいな」
「ら、らぶらぶ?」
「竜の旦那が教えてくれた。すっごくお熱い2人のことを言うんだって」
「なぁ…!?」

幸村君は思わず後退り。
しかしすぐに立ち直って、私の手を自分のほうへ引っ張った。

「わっ…」

よろめく私の体を支え、両手を包み込むように握る。

「佐助がお主を辱めるような行為をし、申し訳ござらん!」

上司として佐助さんの代わりに謝る。
その後に、握られた手にさらに力がこめられた。

「それにっ、青空の隣には某がいると約束した!」

それは、貴方達が来て初めての夜。
私の事情を聞いてくれて、そしたら彼は、そんな約束をしてくれた。

「旦那…」

佐助さんも思わず言葉に詰まる。かと思っていたら。

「…こんな場所でそういう、求婚するなんて、旦那も隅に置けないねぇ」

にやけ顔で、幸村君と私を交互に見る。
そして私は、やっと、自分たちの周りで主婦の皆さんがにこやかなことに気がついた。

「あらぁ、お熱いわねぇ」
「可愛いわねぇ」

なお、この奥様方の視線は、私を真っ直ぐに見ている幸村君には見えていないみたいです。

「え、えと…ありがとう…」
「え、受け取っちゃう?」
「あっ!?あの、そういう意味じゃなくてぇ…」
「さぁ、次は甘味を買いに行くぞ!」
「わわっ、幸村君っ、待って…」
「はぁ…ホント、旦那は前しか見てないんだからなぁ」

お菓子を前に気分が向上する幸村君の背中は、可愛いけれど、大きい。
連れて行くために握った手は、佐助さんに指摘されるまで離してはくれないね。
指摘されたら、きっと顔真っ赤になるんだろうなぁ。

「…ふふ」
「どうした?」
「んーん、なんでもないよ」

振り返ると、佐助さんが一歩引いたところから、前を行く私たちをゆっくりと追いかける。
手を伸ばして、佐助さんの手もとる。
笑いかければ、やれやれと言うように笑って、握り返してくれる。
そんな感じで、私たちの買い物は続く。





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