寒い秋風が体を撫でていく。その分日差しが暖かい。

「小十郎さん、これはもう収穫してもいいですか?」
「ああ、それならいいぜ」
「じゃぁ、やろっか。小太郎君」
「………」

乾いた空の下、小さな畑で作業をする私たち。
長い薩摩芋の蔓を掴み、うんしょと引っ張る。

「よい…しょ!」

あっ、抜けた!
その勢いで、私の体は後ろへと引っ張られた。

「ひゃっ…」

しかし私は尻餅をつくことなく、温かい手に支えられる。

「………」
「小太郎君…!ありがとう」

私の肩を支える手がとても熱く感じる。
その手は、一向に私を解放してくれようとはしない。

「こ、小太郎君…?」

首を後ろへ捻ろうとしたとき、彼は私を自身の腕の中へ収めた。
だから、今彼がどんな表情で私を後ろから抱き寄せているかなんてわからない。
ただ、彼に包まれている暖かさがあるのみ。

「おい、何してやがる」

眉間に少し皺が寄った小十郎さんが鍬片手に、後ろから小太郎君に抱きしめられている私の前に立つ。
何してると言われましても…私からは抱きしめられていますとしか言えません。

「こ、小太郎君、どうしたの?」
「………」
「風魔、用もなくコイツに抱きついてんじゃねぇぞ。猿飛と同じ扱いにするぜ?」

頬に土をつけた小十郎さんが、小太郎君に睨みをきかせる。
しかし、小太郎君はこれくらいには動じません。
すると、私と正面から向き合ったかと思えば、ゴツゴツとした骨格のはっきりしている手を私の頬に当てる。

「<つ・め・た・い>」

そうはっきりと伝えてくれたのでした。
確かにそうなのかもしれません。
小太郎君の手が、とても温かく感じます…。

「…おい青空、手ぇ出してみろ」
「あ、はい…」

おもむろに口を開いた小十郎さんは、私に手を出すよう促したのでした。
でも、何をなさるのでしょうか?
軍手に覆われていた手。外の空気に直に晒すと、空気がとても冷たいと思う。
そんな温かい私の手を、小十郎さんの土に汚れた冷たい手が触れた。

「テメェは、温けぇな…」

綻ぶ小十郎さんの、とっても冷たい手…。
その手を両方とり、私の手で包んであげた。
全然大きさが違うので、全部を包むことができるわけじゃないのですが…。
それでも、小十郎さんにも温かくなってほしいんです。

「温かいですか?」

私の問いかけに、小十郎さんは目を細めた。

「ああ、暖けぇな…」

そう呟き、私の頬に触れていた小太郎君の手もとった。

「テメェも、コイツで随分温かくなったじゃねぇか」
「………」

頬にはもう冷たさは感じません。
逆に、とても温かい…。
頬に感じるぬくもりが、背中から抱きしめられたことによって全身にいきわたるようになる。

「だが、やはり寒いんだな、お前も」

ちょこんと、私の鼻のてっぺんに人差し指が乗せられる。

「ここが赤ぇぜ」

今の小十郎さんの動作で、そこだけじゃなく頬まで赤くなっているはずです。

「これ以上寒くなる前に掘り起こすぞ。いいな?」
「は、はいっ」
「…」

そう促した小十郎さんに私たちが頷くと、彼は満足そうに微笑んだ。
この薩摩芋で、何を作ろうかな?焼き芋とか蒸かし芋がいいかな?
それとも、さつまいもシチューでも作ってみましょうか。
どっちにしろ、温かくって甘い、クッキングになりそうです。





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