「ふ〜、いやぁ、今日は疲れた疲れた」
「お疲れ様でした」

1日の終わり、今日の佐助さんの仕事を振り返れば…。
まず、掃除をしきってくれた。
そして、タイムサービスへと出陣。
最後に、後片付け。

「格安時間帯なんてほんと戦だよ。おばちゃんたちが怖いのなんの」

あはー、とタイムサービスを戦と呼ぶ。戦って案外なんにでもつけられる単語なんですね。

「でもさ、風魔もいてくれたおかげで大量に獲得できたさ。まぁ忍をなめんなって感じぃ?」

今日のタイムサービスに駆り出されたのは小太郎君だった。
まぁ、佐助さんの最後の言葉を聞けば、おおよそどうやって商品をゲットできたかなんて予想はつきますよ。
2人とも、忍ですから!

「小太郎君もお疲れ様っ。偉い!」

頭を撫でればどこか嬉しそうな小太郎君。なんか可愛い。

「ねぇ、俺様にはー?」

ズイッと私と風魔君の間に入り込み、ズイッと私に責め寄る。

「俺様、風魔より頑張ったんだけどなー。旦那のおやつ得るの大変だったんだよぉ?」

思わず後ろ手につき後退りを開始すると、佐助さんは私を逃がしてはくれず、四つん這いのまま私に責め寄る。

「わっ、わわっ…」
「なんで逃げるわけ?それに、なんで顔が赤いのかなー?」

えっ、嘘!?

「冗談」

信じて、頬を覆い隠していた手を取られたら、佐助さんの顔がすぐ目の前まで迫っていた。

「あっ、でも今は本当に顔が赤いぜぇ?」

チョンと鼻のてっぺんを押され、完全に負けた私。

「あだっ、ちょっ、風魔っ、髪引っ張んなよ!!」
「………」

グイグイと風魔君に髪を引っ張られ、私から離れていく。
ポイッと横に捨てると(酷い)、即座に私の前に肩膝をつき、手をとる。

「………」
「だ、大丈夫だよ小太郎君。ありがとう」

私の言葉を聞いた彼は、手にとっている私の手の甲にそっと口付けた。
そして、甘えるかのように私の肩に自身の頬を摺り寄せてくる。
ほ、本当にわんちゃんみたい!!って、またわんこが増えたなぁ…。

「ちょっとぉ、風魔は青空ちゃんに甘えすぎじゃねぇの?」

起き上がった佐助さんが、ずいずいと私達に詰め寄る。
しかし風魔君は依然、変わらず甘えてくれてる。
風魔君から甘えてくれるなんて、滅多にないことだから嬉しい。

「まぁまぁ、私は嬉しいですよ?小太郎君が自分から甘えてくれてるんで」
「へぇ、じゃぁ俺様は?」
「へ?」

下から私を上目遣いで見つられる。まるで佐助さんも、わんちゃんのよう。

「俺は甘えちゃ、駄目なの?」

本気で寂しそうな声音。構ってもらえないわんちゃんのよう。

「そ、そんなわけないじゃないですか!ただ、貴方の場合は度が過ぎ「そんじゃぁお言葉に甘えて」

…こうやって都合が悪いと遮っちゃうんだから。
ま、それが佐助さんらしいと言えばらしいんですけどね。
彼の腕が私の腰辺りに軽く回り、首元に自身の顔を埋める。
髪の毛がくすぐったかったが、すぐに慣れてしまった。

「あ〜、好〜き〜」

生暖かい吐息と、吹きかけられた言葉。
つい体が強張ってしまう。
「………」

すると、風魔君が大きな手で私の手を包んでくれた。
安心感がある、風魔君の手。

「風魔もやるねぇ。俺様負けてらんない」
「………」

ここにも私を間に挟んで、いいライバルがいましたとさ。
てか、人を挟んで怖い笑み浮かべ合わないでください!





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