※パラレル、ファンタジー
※デュラキャラに不思議な能力が備わってたらという話
※元ネタあります







正臣は臨也のタイを引っつかむと、身を乗り出してその唇を塞いだ。

歯列を分け、忍び込ませた舌で湿った口内を荒らす。


「―――…!」


突然の行為に多少驚いたのか、見開かれた目がゆっくり細められる様を間近で見つめる。

臨也は大した抵抗もなく正臣の口づけを受け入れていた。


「――っ」


やはり、効かない。

どんなに舌を絡めて唾液を送っても無反応。

正臣の体液を通して感染させた相手を言葉のままに操る力――『感染(インフェクション)』がどうやらこの男には通じないらしい。

(問題はここからだ)

唾液で濡れた唇を手の甲で拭い、相手の反応を待つ。


「……やれやれ、君も懲りないね」


同じように親指でなまめかしく唇を拭った臨也。

新しい玩具でも見つけたような、酷く好戦的な眼差しがこちらに向けられた。


「その負けず嫌いな性格が命取りになること、教えてあげるよ」


言葉と同時に一気に身体の力が抜ける。

失った身体の制御。


「じゃあ、手始めに服を脱いでもらおうかな」


脳が発する命令に身体が全く言うことを聞こうとしない。
神経経路が完全に遮断され、臨也の言葉通りに動いてしまう自分がいる。

言われた通りシャツのボタンを外し始める指先を、正臣は信じられない思いで見つめていた。


「せっかくだから色んな君を見せて欲しいな」

「ま、さか」


(そんなはずない!でもこれは明らかに……)

動揺を隠し切れず、平然とした臨也の顔を睨みつける。


「ふうん、なるほど。操れるのは行動のみで精神までは関与できないんだね」

「お前、これ…っ」

「そうだよ。これは君の能力。馴染み深いだろ?」


正臣だけに使えるはずの力を、臨也はさも自分のもののように行使してみせた。

正臣の緩慢なストリップを漆黒の瞳が楽しそうに見つめている。


(これがこいつの能力――…?)


ボタンを外し終えたシャツを肩から落とすと、正臣の手は続いてスラックスに伸びた。

ベルトを外して前を開き、裾から両足を抜いたところで、臨也から新たな命令が飛ぶ。


「脚、開いて。自分でシてるところ見せてくれる?」

「こ、の変態……っ」

「それとも一つ一つ指示してあげようか?」


嬉々として喉を鳴らす臨也が、邪魔は入らないしゆっくりいこうか、と呟いたのは聞かなかったことにしたい。


「そうだな。とりあえずいつもはどんなふうに触るの?」


臨也に促されて、下着の中に入り込んだ両手か自身を握った。

こんな状況で勃つはずが…という淡い期待を裏切るように萎えていた一物が反応し始める。


(冗談だろ…)


いつも一人でする時の手順を身体は忠実に再現していた。

どのような弄れは快楽を感じるか、誰よりも知り尽くしている身体だ。


「てめえ、なんでこんな…ッ」

「先に仕掛けてきたのは君だろ?ああ、反応してきたね。もっとよく見せて」


目の裏が焼け付くような羞恥に涙が浮かぶ。

それでも正臣の身体はずらした下着を片足だけ抜いて、一番見やすい姿勢で醜態を曝した。


「ふ…ッ」


ゆるゆると両手が動く度に望まない快感が襲う。


「一番感じるのどの辺?」

「ふざけ…ッ、あァ」


指が滑るのは完全に勃ちあがった性器の先端。

剥けた際を撫でながら正臣は耐え切れず声を漏らした。


「そう、そこが一番感じるんだ。もっと強く擦ったらどうなるの?」

「や…ッ、あっ…ッ」

「感じ過ぎちゃってる?そろそろ先が濡れてくる頃だよね」


途端にくぷっと先端から透明な粘液が溢れて、竿を伝う。

先走りで滑りの良くなった箇所を容赦なく指が摩った。


「ふっ、ゥ…ッ、く…っ」


普段なら自分で適度に加減するのでここまでやらない。

叫び出したいほどの快感に身を震わせば、いつの間にか視界は涙で濡れていた。

せめて声だけでも堪えたくて必死に抵抗するも、臨也もそれに気がついたのか、残忍な笑みを浮かべた。


「声、抑えないで。可愛く喘いでみせてよ」

「あっ、ア…ッ……んン、ぁああっ」


最悪だ、サイアク。

左手で先端を弄りながら、右手で刀身を上下に擦る。

息がうまく、継げない。

快感に堪えるよう首を振れば、ぽろぽろと涙と汗が散った。


「ちなみに俺がいいって言うまではイけないよ」


絶頂寸前まで追い詰められていた身体に、なんと非常な枷。

こいつはもう人間の皮を被った悪魔に違いない。


「ああァ…ッ」


絶望的な気分だった。

濁流を無理矢理せき止められ。

解放を許されない衝動が体中で荒れ狂ってなりふり構わず叫び出したかった。


「少しピッチを下げようか。ゆっくり扱くだけにして」


グラフの波形のように緩やかな下降を見せた快感が、ようやく正臣の肺にまともな呼吸を許した。

快感に侵された肌は桃色に染まり、薄い胸が小刻みに上下する。


「どう。自分の能力を味わう感想は?」

「てめぇ……ふざけんな!」


今なら視線だけで相手を射殺せると思った。

しかし、現実は唇を噛み締めることすら叶わず。

顎を引かれて視線を上げさせられると、至極嬉しそうに唇が重なっきた。



「だからその目は逆効果だって。もっと貶めたくなる」







「――次はどうしようか?」









唇からの服従
まだまだ自由になんかさせてあげない







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