もし○○○されていたら





静雄と臨也の場合



『シズちゃんはさー俺がリンチされてたらどうする?』

「は、手前俺の番号なんで知ってんだよ」


いきなり鳴り出した携帯電話は非通知。
仕事柄、仕方なく取ると憎らしい声が耳を犯した。


『いいじゃん。俺はシズちゃんの事ならなんでも知ってるよ。あ、ちょっと待って、切らないでよ。答え聞いてない』

「ああ゛?!そんなもん俺が手前をぶん殴って八つ裂きにすんに決まってんだろぉが!!」

『そーだよね。シズちゃんはそういう人間だよね。そう言って俺に逃げる隙作って助けちゃう甘ちゃんだ』

「ああ゛ぁ、手前脳みそまでふやけたか?」


怒りに助長されるように今にも壊れそうな携帯電話はみしりと悲鳴をあげる。
いきなり電話してきたと思ったら電波な内容。
ボルテージが沸点を迎えそうになった時


それでも臨也は続けた。




『でもそういうとこ、








      大嫌い』




   ――プツ。




「は?ふざけっ、…あの野郎切りやがったぁ!」


ぐしゃあ、と携帯電話がまるで林檎を握り潰すかのように粉々に砕ける。
仕事用の電話帳もこれでお釈迦。またトムさんに迷惑をかけるだろう。


なにより



またあいつを殴り殺す理由が出来てしまった――…









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