もし○○○されていたら
臨也と帝人の場合
「臨也さんは、俺が目の前でリンチされてたら……どうします?」
ぽつり
ソファから起き上がらずに、シャワーを浴びたばかりであろう臨也に帝人は質問を投げかける。
「いきなりだねぇ。うーん。助けるかもしれないし、そのままスルーするかもしれない。はたまた一緒に混ざるかもしれないね。俺は気まぐれだから」
剥きだしの艶やかな肩にかけたハンドタオルで頭を拭きながら、臨也は冷蔵庫を開く。
中から取り出したミネラルウォーターを口にする彼は、年上とも言える大人びた雰囲気を感じた。
「何、帝人君はどうしてほしいの?杏里ちゃんみたいに助けてほしい?そもそも前提がおかしいよ。なんでリンチされてるの?」
「夢に、見たんです」
「リンチされる?」
「はい。誰だかわからないけど、殴られ蹴られ、俺は地面に這いつくばってて。身を守るように身体を丸めて耐えていると、視界に臨也さんが」
「夢の中の俺はどうしたの?」
臨也は興味を持ったようにペットボトルをテーブルに置いて、こちらを見た。
「その時の貴方は―――…
笑って手を振ってくれました」
さも心穏やかににっこり
微笑むと、臨也も珍しそうな顔をして帝人の足元に腰掛ける。
「………面白ろい夢だね。酷いなぁ、俺。でも、何で嬉しそうなの帝人君」
「だって。その夢、そのまますぐ醒めちゃったんですけど、すごい臨也さんらしいなぁって、妙に納得しちゃって……全然嫌いになれなかった」
思い出すようにうっとり毛布を顔を埋めると、情事と彼の匂いがした。
「それ、酷いマゾだよ。ん、もう一回しよっか?」
そう言いながら、彼も何処か嬉しそうで。
軽く唇を合わせた。
「…………ハイ」