「……………」




互いに言葉を発することはなく、荒い息と窓に叩きつける激しい雨が耳につく。

暗闇の中クラピカの真っ赤な瞳はクロロの額を食い入るように凝視していた。

バンダナが外れて顕になった部位には十字の入れ墨が。


クロロは何も言わないクラピカにくすりと笑って、その顎をきつく掴み視線を無理矢理合わせる。



「驚かないのか」

「……何処かでそうじゃないかって思ってた」

「ッと、」



視界が、反転。

クロロをナカに閉じ込めたまま、クラピカは一気に力を込めて体勢を逆転させる。

伸ばされた右手からは具現化した鎖がクロロの首元へと突きつけられていた。


瞳で、殺す。


まさにそれ程力強い眼力と共に。



「……だが、貴様を殺すのは訳無いということを忘れるな、ッ、あ」



ずるり。

クロロが身じろぐと先程まで突き回されていた内部が刺激され、思わずクラピカの声が漏れた。

中を貫く性器が一度吐き出したのにも関わらず、またもや固さを帯びている。



「…すまん」

「こんな状況で…ッ」



クロロは悪びれた様子もなく、しまった、ついとばかりに目を丸くする。


(また、この男は…ッ)


ヨークシンの車内と同じ。いや、その時と異なり人質のいないクラピカがクロロを殺すのを躊躇う理由なんてないのに。

死を目の前にしても決して動じることはない。

むしろクラピカを挑発して散々殴られた盗賊の頭としてはなく、ただの、普通の、青年のように。


バンダナを取る前の彼となんら変わらず――…



「だって、腹上死っていうのも悪くないだろ?ああこの場合は下か」

「や、やめ…ッ、ふ…ぁ」



クロロはクラピカの制止も介さず下からの律動を開始する。



「あ、ァ、きさ、ま…ッ」



必死に腰を捩るも跡が残るのではないか思われるほどきつく掴まれ、揺すぶられる。

噴き出す白濁混じりの先走り。

快感と振動にぐらぐらする頭をなんとかしようと唇を噛み締める一方で、黒く甘ったるい密のような低い声がどろりと落ちる。



「委ねればいい。全て忘れてしまえ」

「いやだ…ッ」



僅かな、それでもフル稼動している理性が悲鳴をあげている。

頭が、身体が、バラバラに切り離されたみたいに意思疎通を果していない。



「選択肢は二つじゃないって言っただろう?仲間も復讐も捨てて俺と来ればいい」

「出来ない…ッ、私には、そんなこと」



突き上げはさらに激しくなり、クラピカは髪を振り乱しながらも必死に首を振る。



「じゃあ仲間も復讐も取って俺と来ればいい。殺したいときに殺せるよう俺の側にいろ」

「……ッっ!!!!!」



嫌というほど深く貫かれ、ナカで曝す白濁。

クラピカも声にならない音をあげてクロロの腹へと欲望を飛ばした。



「はぁ、はぁ、は…ッ、」



無理矢理呼吸を押さえ込み、快感に酔いしれる間もなくクロロのはだけたワイシャツを掴みあげる。



「…じゃあ、お前は?お前は旅団の仲間も、念能力も捨てて私といられるのか?!」

「……さぁ」

「貴様ッ」

「でも俺が死ぬときはクラピカ、お前が側にいればいいと思ってる」

「……どんな」



(殺し文句だ)



がくり、と思わずうなだれて頭をクロロの肩へと乗せた。




クルタの神よ



私は




愛してはいけない人を愛してしまいました。




彼を殺して自分も命を絶つまで





一緒にいてもいいですか――?










丑三つ時のリミットブレイク



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