「……ねぇ、しない?」



クラピカが夕食に食べるサラダの野菜を刻んでいると、長い手足が後ろから巻き付いてきた。

鬱陶しい。



「ふざけるな、一人でしろ」



手に持った包丁を喉元に突き付け、腰に置かれた手を抓りあげる。

恋人ではないのだからセックスはしないと言ってから一ヶ月。
最初は納得したように触れてこなかったが、最近は我慢を切らしたのか事あるごとに誘ってくる。

うんざりするが、無理矢理犯されないだけ奴も成長したということか。



「……一人飽きたんだよ。それにクラピカとする方がずっと気持ちイイ」

「…………」



無視、無視。

サラダにドレッシングをかけ、手持ち無沙汰に作ってあったカレーを口に含む。


(不味い)


今まで生きていくだけで精一杯だったため、食事には無頓着で口に入れば何でも良かった。

カレーに沢庵を入れようとするクロロに比べればまだましかもしれないが、クラピカも決して料理が上手い方とは言えなかった。

それでもクロロは何も言わず全部平らげてくれる。



「それに、クラピカだって我慢出来ないだろ?毎日あれだけ出してあげたんだから、いた」

「……下品なことを口にするな」



(これさえ無ければ)

それでもクロロは諦めずにクラピカの白い首筋に顔を埋めてぺろりと静脈を舌で撫でる。



「一人でシてるクラピカを考えるのもまたクるけど…」

「……ッっ」



エプロン越しに脚の付け根を撫でられると嫌でも犯された日々の事を思い出す。

濃密で淫猥なひと時。

嫌嫌と泣き叫んでも何度でも擦りあげられ、白濁を散らされる。



「……ほら、クラピカだって期待してる」

「…してない…ッ」

「じゃあ、抜き合わない?入れないから」

「……ぁッ」



クラピカの返事を待たずに身体はふわりとシンクに乗せられて、股を割られる。

クロロは中心部にそっと手を置くと、形を確かめるようで指でなぞった。



「まっ、…ッ、ふ…」

「すごい。もう勃ってる」


自慰なんて、この男がいるのに出来るはずがなかった。

仮にも性別は男なのだから、少し触られただけで感じてしまうのは見逃して欲しい。



「舐めて、いい?」

「……ッ、ぁ」



ぱくりと亀頭を口に含まれ、尿道の入口をぐりぐりと舌で押される。

この男に出会うまで知らなかった快感と、憎悪。

この位置からだとエプロンに行為が隠れて、クラピカは感覚だけを享受しなければならない。

呆気なく達しそうになるのを唇を噛み締めて必死に我慢した。



「噛むなよ。傷が残る…」

「……ふ…ッ…」



あやすように口づけられ、紛らわすように舌を差し出し絡め合う。

その間も性器はゆるゆると扱かれて信号がチカチカ。頭の中が爆発しそう。

全てを捨てて、忘れてしまいたい。



「俺のも、触って」

「ぁ、ぁァ…」



クロロのモノも熱く反り勃っていて、自分が性欲の対象になっていることに血液が沸騰した。



「…おまえは…盗賊とセックス、どっちが気持ちいい…?」

「ん?…さぁ、どっちかな……」



はぐらかされた、気がした。

二人の性器を合わせて、重なった互いの手で本能のまま擦りあげる。



「あ、あぁ、ァッ」

「……ッ」



イく瞬間のクラピカの瞳は感情が高まり一際紅く、涙で潤んで今までで一番綺麗だった。


(そのまま食べて丸呑みしてしまいたいほどに)


クロロはクラピカの涙の溜まった眼球をべろりと舐めて、同時に擦るスピードをあげる。

荒い呼吸の中、互いに精液を吐き出した。






(恋人になれば、盗賊、やめてくれる?)




そんなこと、聞けるはずもなく。







間違った恋人の作り方
流されてるかもしれない



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