春になると新しい服が欲しくなる。
新しい学期の始まりだし、春になると綺麗な色鮮やかな服が欲しくなる。
あ、このブラウスかわいいな。あ、でもこっちのワンピースも捨てがたい・・あ、このカーディガンも良い!あのスカートも・・。
いっそのこと買い占めていくか!なんて馬鹿のことを考えた私は馬鹿だ。
今日は新しい服が買いたいというのもあるけど、今度デートするための服を買いに来たのに。
「(宮地はどんな服すきだろう)」
宮地はいつもデートに着ていく服を見ては、かわいいな、と言ってくれる。
嬉しいんだけど、宮地の好みがイマイチわからない。私が着ていくような雰囲気の服が好きとは限らないし。
宮地は・・結構シンプルな綺麗な感じが好きなイメージがあるんだけどな。どうだろう。
あ、あのワンピースかわいいな。
かれこれ悩んで1時間。
いろんなお店をまわったけど、このお店のワンピースに決めようと思う。
決めようと思うんだけど、どちらにするか迷う。
綺麗めな花柄ワンピースか、甘い系のワンピースか。・・どっちもかわいい。
・・これ宮地の趣味どうこうじゃないよね。はは。
「なぁ」
「ん?」
「何悩んでんの?」
「えっとね・・ってえええ!?」
普通に聞き覚えのある声に反応していたけど、宮地、じゃないか。
どうしてこんなところに。
「なんでここに!」
「いや、ぶらぶら歩いてたら#名前#がずっとこの店にいるから」
「ずっとっていつから・・」
「30分前?」
「話しかけろや!」
「ああ゛?」
「いや・・話しかけてよ」
「ずっと同じ服見つめてるからよ」
「あーそれがさ・・」
どっちがいいと思う?
そう宮地に試しに聞いてみる。すると、眉間にしわを寄せた。
まさか、ここに選択肢ない感じ?
「どっちがいいと思う?」
「あー・・」
こっち、と言って宮地が指差したのは花柄のワンピースだった。
「こういう服、好き?」
「んーまあ」
「ふ、オッケ、オッケ」
「何笑ってんだよ」
「いや?」
やっぱり宮地はこういう綺麗めが好きなのね。
心の中で呟いたはずなのに、この言葉は口に出していたみたいで宮地が、まあな、と言った。
「(今度からはキレイめな服買おっか・・な」