短編 | ナノ



佐助も夢主もちょっと怖い

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なまえとは、大学入学をきっかけに、一緒に住み始めた。
年頃の男と女がひとつ屋根の下で暮らすだなんて許さない!! と、互いの両親からの大反対……なんてあるはずもなく──生まれたときからずっと一緒の俺たちは、もう男女の壁なんてひょいっと飛び越えて、なんかもう、本当の兄妹みたいな感じだったから。


基本的になまえは、友達に対しては姉御肌でしっかりした子なんだけど、俺様と一緒にいると力が抜けるのか、自然と普段より甘えたになることが多くて。


家事はだいたい俺様がやってあげているし、それを苦だとは全然思わないし、むしろ楽。
なまえも最初は申し訳なさそうにしていたけれど、日が経つにつれ、任せてくれるようになった。


もう、なまえのお世話係みたいになってきちゃってる自覚もあるんだけどさ。
つい最近も、なまえが熱を出して学校を休んだとき、俺様も休んで看病してやったなー。

看病っていっても、いつもと大して変わらないんだけどね。


いつも通り、着替えを手伝ってあげてー、いつも通り、あーんってご飯を一緒に食べて。

あ、なまえは体調崩しても薬を飲むの嫌がるから、いつも通り、俺様のお口から飲ませてあげてさ。

ちょっと体調が良くなってきたら、たくさん汗かいて気持ち悪いって言うから、これもいつも通り、一緒にシャワーを浴びて。いつも通り、身体も隅々までしっかり洗ってあげた。


ほら、こんなの普段通りでしょ?
物心ついたときから一緒にいるんだからさ、これくらい当然だよね。


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佐助とは、大学が決まったタイミングで、一緒に住み始めた。
年頃の男と女がひとつ屋根の下で暮らすだなんてけしからん!! と、互いの両親からの大反対……なんてあるはずもなく──生まれたときからずっと一緒の私たちは、もう男女の壁なんて無いも同然で、なんだかもう、本当の兄妹みたいな感じだったから。


基本的に家事は佐助がやってくれていて。最初はさすがに申し訳ないから私もやるって言ったんだけど……下手に私が手出しするとやりづらいみたいで、もう遠慮なく甘えることにした。


私は小さいころから佐助や幸村と一緒に武道やらなんやら習わされて、彼らと一緒に過ごしてきたおかげで、女の子にしてはたくましく育った。そんなこともあって、友達の間では結構頼られるタイプのはずなんだけど、佐助といると、ついつい甘えちゃう自分がいる。日頃の反動もあるのかな?


でも、佐助だって「まったく、家では甘えたなんだから」とか私に言いつつ、
結構甘えてくるじゃん! って思ったり。


もうさ、友達が家に来たときなんかにも、そんな一面がポロっと出ちゃうから勘弁してほしいよね。


そうそう。こないだ、バイトが終わって帰ったら、佐助と同じゼミのレイちゃんが家に来ててさー。
終電がなくなっちゃって、どうしても帰れなくなっちゃったんだって。で、佐助が持ち前の面倒見の良さを発揮して、連れて帰ってきたとか。
お持ち帰りとかお主もやりおるのう、って、脇腹を小突きながら小声で言ってあげたら、
「そんなんじゃないよー」
って、超普通に返された。


でも、私が帰って来てから妙にレイちゃん居心地悪そうにしてるのは、レイちゃんにはちょっとはその気があったってことなのかな? モテる男はつらいねえ。
じつはレイちゃんのことは私が一方的に佐助から話に聞いて知っていただけで、ちゃんと顔をあわせるのはこれが初めて。もしかしたら、彼女は私が佐助と一緒に住んでることも知らなかったのかな?
佐助のやつ、それくらい説明しとけっての。


「いやー、他に一緒にいたのが、女の子は実家住みの子ばっかりでさ。男の家にっていうのもちょっとねえ、とはなったんだけど、家ならほら、なまえがいるからいいかなと思ってさ」


あーあ、なんか申し訳ないやらいたたまれないやら複雑な気持ちだけど、
普段通り過ごせばほら、私たちがやらしい仲じゃない本当の純粋な幼馴染だってわかってくれるかなあと思ったの。


「あー、鼻水とまんない。俺様風邪ひいたのかなあ。なまえ、薬飲ませてー」

ほらほら、普段は薬も一人で飲めないのかよ、とか私には言うくせにさ。しかもアンタさっきまで酒飲んでたのに薬飲んでいいのかよっていうね!


「まったくしょうがないなあ」


いつも通りに棚から風邪薬を取り出し、コップに水を注ぐ。3錠ポイッと口に放り込んで、水を一口含んだ。
そのままレイちゃんの向かいに座ってこちらを見上げる佐助の口に、流しこむ。
ごくん、と佐助が飲み込んだのを確認したら、口の端から少し溢れてしまった水が、顎を伝って落ちる前に舐めとってあげた。


幼馴染なら、これくらいやって当然でしょ?


「じゃあレイちゃん、私ちょっとバイトのせいで汗だくで……お客さんより先に申し訳ないけどお風呂に入って来ちゃうから、遠慮なくくつろいでてね!」


いつも通り二人分のタオルと着替えを持って、お風呂場へ。

いつも通り、佐助の指が、私のブラのホックを外した──


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神奈さま、ものすごく遅くなってしまいごめんなさい…!

現代幼馴染佐助で
ちょっと共依存気味、とリクエストをいただいていましたので、こんな感じになりました!
なんか狂気じみてしまいましたが……本当はおかしくなるほど好きになってしまっているのに、幼馴染という関係から抜け出せなくて、でも気づいたらもう戻れないところまで来てしまっていて…という感じの関係です。本人たちは、自分たちの「いつも通り」がおかしいことに、本当は気づいています。レイちゃんはただの被害者です。

これからも遊びに来てくださるとうれしいです^^







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