ギブミーギブミー
「くっ、もうちょっと…、」
「何してんだ?」
「あ、静雄!」
静雄に声をかけられたのは高い棚の上にある荷物を取ろうと踏ん張っているときだった。あいにく、わたしは背が高くないほうで、まあどちらかというと小さいほうだ。当たり前のように高いところは手が届かない。
「ほらよ。」
「……ん。ありがとう。」
それなのに。
静雄はいとも簡単に取ってしまう。
「どうした?んな顔して。」
「なんか、悔しいなあって。」
「悔しい?」
「だって、昔はわたしのほうが背高かったもん。」
「なんだ、そんなことかよ。」
「む。そんなことって、」
「いいんだよ。だから、呼べよ。俺がいつでも行ってやっから。」
頭に置かれた手も
優しい顔も
ちょっぴり悔しいけど
それでもいいかな
───そう思えた。
「……じゃあすぐ来てね。」
「おう。」
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身長3o縮みました
20110408