ビターチョコレート



どうせ最初から、彼の中ではわたしの存在などちっぽけなものでしかなかったんだろう。

ただ、気づくのが遅かっただけ。

いや、本当は気づいてた。気づきたくなくて、気づかないふりをしていただけ。

ずっと、ずっと。

でも、それでも。わたしは彼のことが好きだった。

彼が笑うと嬉しかった。例えそれがわたしに向けられた笑顔ではなかったとしても。

彼女の隣にいる彼は、いつもより輝いて見えた。

そうして、悟った。

わたしが好きな彼の笑顔を引き出すことができるのは彼女だけだと。

悔しい。

悲しい。

妬ましい。

どうして彼女なの。

どうしてわたしじゃないの。

わたしはずっと、ずっと、あなたの事を見てきたのに。

ずっと、ずっと、好きだったのに。


彼女を見る度に醜い気持ちが浮かんで、彼の笑顔を見る度にそれらは沈んでいく。


どうして、どうして。


わたしにできることは何もない。何も。

だから今日もわたしはあなたを見つめるの。

そっと。



わたしはあなたのことが好きです。



声に出せないその気持ちを、喉まで上がってくるその言葉を、ただただ飲み込むだけ。




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最初は臨也のつもりで書いていたのに気がついたらシズちゃんになってたあら不思議!

20110328




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