繋がる空
01
昼休み。
獄寺が購買にパンを買いに行った為、綱吉と山本は、一足先に屋上に居た。
今日は空が晴れ渡り、風も穏やかで、昼食をとるのに、屋上はもってこいのスポットだった。
「……平和だ」
「ハハッ!そーいや、ついこの間まで続けざまに色々あったからなー」
綱吉がしみじみと呟くと、山本が笑って返す。ヴァリアーのリング争奪戦が終わったかと思えば未来へ飛ばされ、やっとの思いで戻って来たかと思えば、継承式に招かれたシモンファミリーとの戦い。和解したと思えばD・スペード登場。
それらを乗り越え、やっと訪れた平和な日常。ここ数週間の平和な日々を思い出して、綱吉の頬は自然とゆるんだ。……周りに非常識な人間が多い事は、この際置いておく。
ガチャ、
「おーい、山本ォ!」
「お、どーした?」
不意に屋上のドアが開く。獄寺が来たのかと二人が振り向いた先には、同じ学年の野球部員の男子生徒が居た。
「今から軽いミーティングだってよ」
「急だな、オレまだ飯食ってねーのに」
「俺もだよ。すぐ終わるってさ」
「そっか。…んじゃワリ、ツナ。ちょっくら行ってくる。もし遅くなったら、獄寺と先に食ってていーから」
「うん、分かった」
呼びに来た男子生徒と一緒に、山本が屋上を出ていく。バタリとドアが閉まった途端に静かになった屋上には、遠くの喧騒だけが聴こえてきた。
ポツリと一人になった綱吉は、空を仰いだ。そういえば、一人きりというのも久しぶりだ。
「……獄寺君、遅いな」
購買が混んでいるのだろうか。だが、それにしては遅すぎる。
(まさか、また喧嘩でもしてるんじゃ…)
よく上級生や不良に喧嘩を売られる獄寺。当の本人がすぐに喧嘩腰になり、片っ端からそれを買ってしまうのでタチが悪い。
心配になった綱吉は、獄寺を迎えに行こうと立ち上がる。
その時、だった。
「!?」
綱吉のブラッド・オブ・ボンゴレ、超直感が、何かを訴えた。