Short


『カルラさん』

ドンッ

「・・・。」

『・・・。』

「何だこれは」

『えードキドキしませんか?今人間界で“壁ドン”なるものが流行ってるんですよ!』

人間界には月一で発行される女性向けファッション誌がある。そこには今人間界で流行っている物がファッションを含め色々乗っていて、これが結構参考になるので私はよく買っている。今月は今日が発売日だったので早速買って見ていた。すると“女の子がドキッとする男の子の行動TOP10”という記事が目に入り、ちょっとドキドキしながらも中身を見て見ると第一位の所に“壁ドン”があったのだ。わかりやすく写真もあったのでこれならできそうだなと思って早速カルラさんにしてみたのだが、照れている様子もないのでどうやらこれは失敗みたいだ。
やっぱり人間と始祖王を一緒に考えちゃだめだな…全然参考にならないや。

「これをすることによりどんな効果が得られるというのだ」

『んーと、雑誌によるとされた側がドキドキするみたいですよ』

「ほう…貴様は私をときめかせたかったのか?」

『はい!だっていっつも私ばっかり余裕なくて気に食わなかったのでこの壁ドンをすればちょっとはカルラさんもドキドキしてくれるかなって』

「…なら簡単だ。こうすればいい」

突然握られた手は優しくからめとられて、ひんやりとしたカルラさんの体温がじかに伝わってくる。握りしめた手から私の熱がつたわったのかひんやりとした手が徐々に暖かくなってきた。
手をつなぐだなんて恋人であれば自然な行為だ。でもなぜ今?

「私は貴様と手が触れるだけでときめく。だからわざわざ壁ドンなどするな、勢いよく壁を叩いて手を赤くするくらいなら私と手をつなげ。」

『卑怯ですよ…そんなこと言われたら私がドキドキしちゃいます』

「なら、一緒だな。」

ああ、もうカルラさんは何処まで完璧なんだろう。こんなこと言われてドキドキしないわけがない。優しく満足げに笑みを浮かべるカルラさんは少し頬が赤くなっていて、その表情が見れただけで私はもう胸いっぱいだ。

『カルラさんかっこよすぎて辛い』

「私は愛しい名前と一緒でこれ以上なく幸せだ」

カルラさんと壁ドン

(もうカルラさん大好き)

(私は愛している)




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