Short(R) | ナノ
狂った女

今回の任務はとある女をスカウトすることだった。女の名は“ハーレクイン”。本名かどうかは定かではないが裏社会ではそう呼ばれている。最近突如として現れた殺人鬼で、ボンゴレの中にも、奴の被害にあった者が多数いる。普通の殺人鬼と違うところは、女子供などの弱い連中には絶対に手出しをせず、強者ばかりを選び襲い掛かってくるところだ。あの雲雀もターゲットになったことがあるようで「次会った時には必ず噛み殺す」と鬼の形相で言っていた。
あの雲雀にそこまで言わせる奴だ、強者に違いないと思い、今回ヴァリアーにスカウトすることに決まったのだ。

『貴方、二代目剣帝のスクアーロでしょ。』

赤い口紅を差した、色っぽいこの女が今裏社会で話題となっている殺人鬼、ハーレクインだ。傍から見るとただのいい女で、自分もハーレクインだと知らなければ口説いていただろう。

「う”お”ぉ”ぉぉい、お前がハーレクインかぁ」

『嬉しいわぁ。こんな色男に名前を憶えて頂いているなんて…でもどうせなら名前と呼んで頂戴。その方が----------』

エッチだと思わない?今まで目の前にとらえていた女が、気が付けば自分の耳元にいた。まさに光速と言っても過言ではないそのスピードに若干肝を冷やす。これが戦いならば俺は奴に確実に致命傷を負わされていただろう。

「・・・。」

『そんな怖い顔しないでー。貴方私をスカウトしに来たんでしょ?』

油断をすればこちらがやられる可能性だってあるんだ。それは怖い顔にもなる。だが、油断してはやられてしまうと思える者にあったのはかなり久しぶりで、そう思える者に出会えたことを嬉しく思う。今回の任務はこの女をスカウトすることだが、いつか手合せ願いたい。

「なら、話は早ぇ。ヴァリアーに来ねぇかぁ?飯付き、部屋あり、高給だ。悪くはねぇねぇと思うぜぇ」

『残念だけど…私そういうのに興味ないの。興味があるのはただ一つ、強者との戦いだけ…。そうね…もし貴方と私が戦って私を本気にさせることができたら入隊をしてもいいわ。同僚に刺激的な人がいるなら毎日が楽しいもの』

「決まりだなぁ」

その言葉を合図に互いの空気はガラリと変わり、吹く風が冷や汗を増長させる。車や人の声は全て消え、まるでここには俺とこいつしかいないのではないかという錯覚に陥る。
奴の得物は鉈。しかもかなりでかい。女の背の半分はありそうなデカさだ。あんなのをぶんぶん振り回されたらひとたまりもない。ここはやはり出方をうかがうより先手必勝だな。

キィィィィィン

刃と刃が合わさった瞬間に仕込み火薬を爆発させて煙幕で一気に視界を遮り、視界が不安定な状態で斬りにかかる。

『あらあら、女相手に随分狡いじゃない…もっと堂々と来てよ。ほら…』

煙幕で敵は見えないはずなのに、的確に急所を狙ってくる。やはりこいつは強い。入れれば間違えなくヴァリアーの戦力になる。

『あら、血がついてる。当たった?』

「当てに来てるくせによく言うぜぇ」

『当たると思わなかったわ。だって私今見えないから勘で攻撃してるもの』

勘で攻撃して急所を正確についてくるのか?恐ろしい女だ。殺しの天才と呼ばれるうちの切り裂き王子と同等のセンスと言っていい。
煙幕がやがて効力がなくなり女が姿を現す。その顔は赤く染まっていて、呼吸も整っていない。目もとろんとしていて明らかにおかしい。

『貴方がつけた傷、とっても沁みるの』

俺が傷つけた傷口から流れ出てくる血をなめとり沁みるという。そんなのは当たり前だ。舐めれば沁みるし、傷は痛い。と言っても俺がこいつにつけれた傷は重傷を負うようなものではなく、それこそなめときゃ治るというレベルのものだ。

『痛いなぁ…痛くて、気持ちいいよ』

「お前、イってるな」

頭が。どう考えてもそうとしか思えない。たまにこういうやつがいる。自分が傷ついて、傷つけて興奮するタイプ。タイプ的にはベルと同じだがベクトルは全然違うようだ。

『こんなにドキドキするの雲雀君と戦って以来だよ』

「ヒバリはお前の事嫌ってたみたいだけどなぁ」

『あー嫌われちゃったんだ。それも悪くないかな、憎悪にまみれた瞳も可愛い。彼童貞なの?』

「そんなもんオレが知るかぁ」

『彼もねこうして私の事傷つけてくれたの』

服をめくり、見せた腹には包帯が巻かれていて、その包帯は赤く染まっていた。大方今の戦いで傷口が開いたんだろう。じんわりと赤が広がっていく。

『私ね戦いが大好きで強い人と戦ってると興奮しちゃうの…それでね、セックスしたくなっちゃうんだ。』

徐々に女は近づき、鉈をその辺の地面にぶっさすと俺の方によって来た。ややあっけにとられていたが今の話の内容で大体の展開が想像つく。

『だから彼と戦ってるとき思わずキスしちゃったの。DEEPなやつを。そしたらね、顔真っ赤にしながら思いっきり突き飛ばされて逃げられちゃった』

なるほど…。それで雲雀が鬼のような顔してこいつの事を噛み殺すと言っていたわけか。あのボンゴレ守護者最強と言われている男がキスで顔を赤くしたなんてな。しばらくこれで奴をからかってみるのも面白そうだ。

『だからねスクアーロ強いから戦ってて興奮しちゃったの。』

「とんだ淫乱女だなぁ」

『そうよ。淫乱なの私。だから、相手してよお願い』

危険な色香を漂わせてねだる様な目つきで俺を見上げ、抱きついてくる。あぁクラクラクラする。これが全く自分のタイプでない女なら話は変わってくるのだが、この女は自分のタイプだ。そんな女に誘われて断われるほど俺は人間ができていない。所詮ただの男なのだから。

『んっ…ふっ…』

息つく暇もないほど情熱的で官能的なキスに酔いしれて今はそのほかの事シッャトダウンしようと思う。面倒なことは理性があるうちにしか考えられないのだから。

狂った女

(それで、入隊すんのか。しねぇのか)

(喜んで入隊させて頂くわ。宜しくねスクアーロ)


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -