私は想いを伝えるために愛しい恋人を部屋に閉じ込めて見た。
小さい頃からよく言われてたでしょ?「大事なものはちゃんとしまっておきなさい」って。
だから閉まってみたんだ…

『スクアーロ、おはよう』

「…」

『お腹すいたでしょ、朝ご飯だよ。スクアーロは朝はパン派?ご飯派?それともコーヒーだけって感じ?ダメだよ、それじゃあ。朝は沢山栄養とらないと』

「何のつもりだぁ」

切れ長の目を更にきつくさせて、私を睨んでくる。
嬉しいな、やっと私だけを見てくれた。欲を言えばもっと優しい瞳で見てほしかったけど、今は見てくれるだけで我慢しよう。今は突然の出来事で驚いて威嚇してるだけだもの。そういう時は優しくしてあげないとね。

『何のつもりって言われてもねー…愛情表現かな!』

「ついに頭がやられたかぁ?茶番は良いからとっととはずせぇ。こっちだって仕事があんだ」

『ん?茶番じゃないよ?いったじゃん。これは愛情表現だよ』

私の言っていることをさっぱり理解できないのか、スクアーロは呆れた顔で私の顔を見つめてくる。あー可愛いな、大好きだな、いや愛してるよ。大丈夫、スクアーロは仕事クビになっちゃうと思うけど私が養っていくから何にも怖いことないんだよ。スクアーロはこの部屋でゆっくりしてただ私の帰りを待っているだけでいいの。

『スクアーロ、あーんするから口開けて』

「飯くらい自分で食う、ほっとけ」

『でも今は食べれないと思うよ』

だってスクアーロの手は後ろで縛って固定してるから。
自分より大きい体格差のある人間を合意なく部屋に閉じ込めるというのは本来無理な話だ。暴れられれば力の弱い私なんてすぐ弾き飛ばされて逃げられてしまう。だからそうならないために、睡眠薬をわからないように飲み物に仕込んで寝かせその隙に手足を拘束して抵抗ができないようにした。
もしスクアーロが寝てくれなかったら、部屋に閉じ込めておくことは不可能だっただろう。

「チッ…」

『味には自信あるからさ!ね!』

不服そうに眉を寄せるも、こちらの言われるがままに大人しく口を開ける様は本当に可愛い。今この瞬間彼の全てを私が握っているのかと思うと言い様のない高揚感に包まれ、体の奥がうずいてくる。
少し熱そうに顔をゆがめる姿も可愛い、わざと一口より多めに口へ入れるとリスの様に頬を膨らませて食べる姿が可愛い、口の端からこぼれる液体を何とか舐めとろうとする姿も最高に可愛い。どれもこれも最高に可愛くて、世のあざとい女共なんか比較にならない程だ。

『最高に可愛くて愛しいよ、スクアーロ』

「そういうお前は最高に美味そうな顔してやがる」

その瞳は溶けるほど熱くて甘いものになって私を捉えていた。完全にオスの顔になったスクアーロはとても色っぽくて、繋がれた枷や鎖はよりいっそうそれを引き立てていた。
主導権は私が握っているはずなのに、貴方に見せられたら最後あっという間にすべてが奪われていってしまう。吸い寄せられるように貴方の唇に私の唇を重ねると、獣のように荒々しくむさぼられた。口をこじ開けられてスクアーロの下が私の口のあらゆるところを探って犯していく、逃げられるのに逃げられない。

『っ、スクアーロ』

ようやく絞り出した声は完全に平常時の声ではなく、溶け合ってるときのそれに近かった。自分で発しておきながら、自分の声に驚きを隠せない。まるで媚びるような音声はあまり聞き心地のいいものではなくて自分の声に眉をひそめた。きゅっと寄った眉間にぬるっとしたスクアーロの舌がゆっくりと舐めあげてくる。

「眉間に皺なんぞ寄せるんじゃねぇ…嫌か?」

『ううん、自分の声が気持ち悪かっただけ…だからスクアーロの声でかき消してよ』

耳も口も頭も胸も下も身体の全てがスクアーロで満たしたい。私の思考を奪うのも、私の心を壊すのも……

『スクアーロ…』

「ああ」

私は貴方でできている

(貴方の全てを私にさせる)
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