「パース」

 そう呼ぶとゆっくり不機嫌そうに振り返るあなたが好き。だって眉根を寄せて不満げな顔をするのがとっても可愛いんだもの。

「なんだい?」
「あら、機嫌悪そうね」

 ふふ、と含み笑いをしながらそう言うとパースはより一層眉根を寄せた。面白いほど期待通りの反応をしてくれるので、まったくもって彼には飽きない。可愛いなあと微笑むとさらに顔を険しくさせる彼に愛しさが募った。

「どうかしたのかい」
「4階の階段でクソ爆弾が大爆発してたわよ」
「な!」
「冗談よ」

 ほら、もう直ぐに騙されるんだから。これだからクソ真面目な監督生って良いのよねえ本当そそられるわ。まだお昼前だけど思わずどこかの空き教室に連れ込んじゃいそう。なんて私は痴女か、と一人ツッコミを入れてるとパースはふいに立ち上がった。

「君には付き合っていられない」
「ふふ、怒ったところも可愛いなあ」
「黙れ」
「パースって何でそんなに可愛いの?抱き枕にしたい」
「うるさい」
「でもダメね、あなたを抱き枕にしたら私我慢できそうにないわ」
「なんのだよ!」「あら、言わせる気?」

 そう言うと、顔を真っ赤にさせてパースは談話室から飛び出してしまった。まじウケる。まじ可愛い。今日はパースの部屋にでも忍び込んで(監督生は一人部屋だ)ベッドの中で夜の見回りから帰ってくる彼を待っていてあげようかなあ。パースの好きそうな色のセクシーなネグリジェでも着て。

「ああ反応が楽しみ!」

 にやり、と笑って私も談話室を出て大広間へ向かった。ホグワーツはもうすぐお昼だ。


101217

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