ベンチを見つけて私はそこに座る。
ふと、前を見る。
そこには同学年くらいのカップルの姿が居た。
彼らもベンチに座っていたけれど、私とは違ってキスという名の接物をしていた。
くちゅくちゅと何とも不愉快な音が繋がった先から聴こえる。
ちなみにここは公園だ。
イチャつくなら余所でやれ。
なんて思いながら彼らをじっと見ていると、彼らも私のイタイ視線に気付いたのか、そそくさといたたまれないような顔をして逃げて行った。
しかも、ちゃんと手を繋いで。
どっか行け、リア充。
「名前!!待ったか?」
『錫也。
ううん、珍しいもの見てた』
珍しいもの?と私に尋ねながら両手の片方に一つずつ捕まれたクレープの片方をくれる彼。
うん、
ここのお店のクレープが美味しいんだよね。
「…で、珍しいものって?」
『んー、
カップルがディープしてるとこ』
食べながら答えたら、彼は苦笑するどころか呆れた顔を見せる。
「悪趣味だぞ」
『なんとでも』
ぱくんっと口に最後の一切れを頬張る。
ちなみに私と錫也は友達以上恋人未満みたいな関係で付き合ってはいない。
けど、きっと私たちは両思いだってお互いに気付いてる。
だからこそ、さっきの光景から目が離せなかったのかもしれない。
いつの間にか食べ終わっていた彼がベンチから立ち上がって手を差し出す。
それに応えるように手を絡めれば、彼はとても嬉しそうに笑うのだ。
彼の横を必死に歩く中で、いつか私たちもお互いの気持ちを改めて知り、付き合い始めたらあんなキスをするのだろうか。
そう思うと
さっきまで不愉快に感じていた音も二人の顔から出る蒸気も悪くはない気がしてくる。
むしろ、
自分の顔が熱くなってきてしまった。
私たちが交わす接物はどんなふうになるのだろうか。
まず、この愛しい気持ちから伝えようか。
僕らのファジー理論(愛してみせましょう)
(この関係ごと)
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題名を
気に入っています(^-^;