stsk 短編 | ナノ






この胸の奥に









『それで私を殺すの』


暗い部屋の中で彼女の声が響く。







「そうだよ」


僕は口角を吊り上げて笑う。


『梓は仕事とプライベートをわける人だね』


「…そうかな」


『うん。そうだよ』



"だって、"
と言った彼女が僕を指差す。


『顔、歪んでる』




どくん












僕の心臓が跳ねる。



どくん

どくん







彼女は口を開いた。




『私、梓のことすきだよ。だから梓に殺されても大丈夫』



「……ッ」




カチャン



渇いた音が鼓膜をくすぐる。


手に持つ銃が震えた。

そのせいで銃の先端が彼女に合わない。


胸が苦しい。


彼女が愛しいと喉が鳴る。





カチャン



銃を両手で持ち直す。










『梓、すきだよ』







さあ


生かすか

殺すか








この胸の奥に

(この気持ちを伝えたら)
(彼女は何て言うだろう)


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かなり前につくったやつです。

This is 修正ばーじょん。