そういえば思ったことなのだけれど、この世界でも私の名前は“月野藍那”らしい。まあ、面倒じゃなくて良かったかもしれない。



あの病院での目覚めから3年。

言わずもがな3歳となった私は今はこうして、もたつく足をどうにか操りながら母(当然のように病院での美人お姉さんだ)と手を繋ぎ、歩道を歩いていた。
生まれ変わってからの私は絶好調で、生まれ変わった後の両親だって良すぎるくらい、いい人だし(二人とも美顔だし)。普通は4歳ぐらいから言葉が話し始めれるのに3歳前半から話せれて天才扱いされたり。本当は高校生なんだよ、とその度に何度も罪悪感をもつのだが、まあそれは今回とは別の話だ。


そんな私は未だに友人がいない。
前の世界では形だけではあったけれど友人は居た。そういえば彼女達は私が死んだことに涙を流したのだろうか。……話がそれた。
とにかく、今日はそんな私を見兼ねてか母は私を近くの公園に連れて行ってくれていた。




「……」

「あれ?緊張してる?」

「してない…けど、ひとがおおい…」

「人が多い所駄目だったっけ!?うわ!どうしよ!?」

「あ、おかあさんはわるくないよ!!
というか、びっくりしただけだし…」

「んー、そう?」




ふふ、と少し笑われた気がした。

まあでも、確かにこれ以上この人に迷惑はかけられない。こんなにいい人が親になってくれたのだから彼女達を安心させれるように友人をつくらねば。


ヨシ、と気合いを入れた瞬間、ポン!と私の足に何かが当たった。

見てみるとそれはサッカーボール。

取りあえず拾い、誰のだろうと首を傾げた瞬間、次は誰かの手が自分の肩に当てられ驚いた。

振り返ってみればそこに居たのは少女……とも見れる、辛うじて男の子だろうと判断出来た少年が立っていた。




「ねえ、きみもはじめてここにきたの?」

「え、あ、うん…」

「…ぼく、“きのせ あずさ”っていうんだ。きみのなまえは?」

「月野、藍那…」

「じゃあ藍那、いまからあそぼう?そのボール、ぼくのだから。サッカーしようよ」

「う、うん」




決して裏のない、無邪気な笑顔だった。

行こう行こうと私の手を引っ張り二人でサッカーを始める。
どうやら彼も今日から公園デビューらしく、母親と一緒に来たのだそうな。いやはや偶然。
私の母と彼の母親がベンチの方で楽しそうに話しているのを見て安心する。

話を聞けば彼も私も同じ保育園らしく、組が違っただけだった。

楽しそうに笑う彼を可愛い、なんて思っている私は精神年齢的にロリコン扱いになってしまうのだろうか…。いや、無いと信じたい。




今日、私に同い年の友人が出来た。





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