私が護ります!
いつもと変わらない日常。
だが、そこで事件は起こった…。
『月子ぉぉぉ!!』
「え!?葉斗ちゃん!?」
どうしたの!?と私の立っている2年天文科の教室の扉のほうにユラユラと長い髪を揺らしながら走ってくる月子。
慌てる月子も可愛いなあなんて考えてると、急にわざわざ天文科に来た意味を思い出した。
『て、転校生が月子をたぶらかしてるって聞いたんだけど!?』
「たぶっ…!?それ一体どこの情報なの…!?」
『え、白鳥…。』
え?違うの?という風に月子を見れば、月子は「白鳥くん…。」と溜め息を吐いていた。
おいおい白鳥。お前、学園のマドンナに溜め息つかれてるぞ。
「確かに転校生はきたよ?でも…」
「どうしたの月子。」
「羊くん!」
『よ、よう…?』
目の前に現れたのはアホ毛、赤髪、くりくりお目めの男の子。
天文科には月子と東月のお菓子目当てで(かなり長い時間迷子になりながら。)よく来るけど、こんなやつ見たことないぞ?
ま さ か … 。
『お前が月子をたぶらかす転校生かこんのガキゃああああ!!』
「だから違うよ、葉斗ちゃん!!」
今にも掴みかかりそうな勢いの私の腕を掴んで必死に何かを訴えてる月子。
そして、目の前の彼はいかにも不機嫌そうな顔で私を睨んでいた。
「人聞きの悪いこと言わないでくれる?
僕はただ、月子に会いたくて転校してきただけなんだけど。」
『……間違い?』
「さっきからそう言ってるよ…。」
「変な誤解が解けてよかったよ。」
あのやろ、白鳥いい!!
無駄に騒ぎやがって!コイツ、白じゃねえかよ!
ていうか…。
『アホ毛よ。君は少し月子との距離を詰めすぎじゃないだろうか。』
「僕はアホ毛っていう名前じゃないよ。」
…やっぱりコイツ、黒なのか!?
なんて頭の中で考えていると、急にアホ毛と月子の間に誰かの両手が入れられ、バッと二人の間を引き裂いた。
「ちっっけぇぇ――んだよ、お前!!!」
「おいこら、哉太!」
『あ。七海に東月じゃん。』
ドタドタと駆けてきて二人の間を引き裂いたのはどうやら七海だったらしい。
東月は苦笑いしてるけど、取り敢えず、グッジョブ七海。
転校生の方を見ると、月子と離されたのが嫌なのか登場した二人をギッと睨んでいた。
「また君たちか。僕と月子の時間を邪魔しないでくれる?」
「俺達はそいつの幼馴染だ!ベタベタすんな!」
「男の嫉妬は見苦しいよ、不良くん。」
「俺は不良じゃねえ!」
ぎゃんぎゃんと喧嘩を始めた二人を見て東月と月子は「またか…」と溜め息を吐いていた。
成る程。
この光景は段々、日常の中の一つになりつつあると。
……ふうん。
『……まあ月子が変な男にたぶらかされてなければそれでいーわ。じゃあねー。』
「え?もう行っちゃうの?」
『ん。ごめんね月子。宮地が怒るからさー。』
「変な道通って迷子になるなよー。」
『あんがと、錫也ママン。』
ふりふりと手を振ってから背を向ける。
まだアホ二人の争う声や物音が聴こえるけど無視無視。
まあ、月子に変な真似したら殴って一発KOにしたるか。
私が護ります!
(……あれ、)
(ここ…どこだ?)
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原作沿いのような。
そうでないような。
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