「とりあえず、当面必要な物を買い出しに行け」

「えっ?!」

「哺乳瓶や衣類は、とりあえず今まで使っていたのがあるからまぁいい。ミルクや、オムツなどの消耗品はストックが無いからな」





必ず使うものなんだから、早く行ってこい。そろそろルルーシュが腹を空かせてくるぞ。
そう言われて必要な物をざっとピックアップした殴り書きのメモを渡されて蹴り出された。




今現在、近所のドラッグストア。
そのベビー用品コーナーで、僕は立ち尽くしている。










◇おかいもの!◇










「オムツ、って言ったって…」




めちゃくちゃ種類があるじゃないか…。

パッケージに愛らしい子供が載っている数々の種類のオムツ。
新生児用、S、M、L、big、テープタイプ?パンツタイプ??トレーニングパンツ???



「えぇー…なんだよこれ…。ルルーシュはどれを使うんだ…?」




渡されたメモを見ても特に指定も指示も無い。
う〜ん…と、暫く考えても子供、それも赤ん坊の世話なんか一度もした経験もない僕がいくら思考を巡らした所で答えなんか出るわけも無く。
直接聞こうとケータイを取り出したものの、そもそも彼女の番号なんか知らない事に気が付いた。




「………」




腕を組んで、カラフルなパッケージの前で考え込むこと数分。




「よし!」




悩んでいてもキリがない。
わからないものはわからない。
僕は開き直って、可愛らしいオムツのパッケージに手を伸ばした。






















「お前、馬鹿だろ」




家に帰って大量の荷物を玄関先に置いた僕に注がれたのは、C.C.の冷たい視線だった。




「そんな事言われても“オムツ”としか書いて無かったからね?!」



ほら!と渡されたメモを突き付ける。




「…先が思いやられるな」

「ちょ、…っわぁ?!」



ふぅ、と溜め息を吐いてリビングへと踵を返す彼女の後を追いかけようと靴を脱いで玄関先に上がる。

と、積み上げていた大量のベビー用品がバランスを崩して行く手を阻んだ。


















「大人しく店員に聞けば良いものを…」

各メーカー全サイズ買ってくるヤツがあるか、馬鹿め。




冷ややな目線でそう言われると、もはや返す言葉がない。




「君だってちゃんと言わなかったじゃないか!」

「なら一度聞きに戻れば良かっただろう」


そんな大量の荷物を持って帰ってくるよりは、はるかに負担が軽い。少しは考えろ。

そう言われてしまうと、もっとも過ぎてぐぅの音も出ない。




「…まぁいい。大きいサイズは置いておいてもいずれ使うからな」

「だろ?!」

「大きいサイズ、はな。新生児用は必要無い。返してこい」

「えー…」

「早く行ってこい」

「…はい…」






そうして僕はまた、大量のオムツを抱えてドラッグストアへと足を運ぶのだった。





















「ルルーシュがそろそろ眼を覚ましそうだから早く帰って来いよ」

「え?!」

「次はミルクのやり方を仕込んでやる」





end











ダメパパ枢木